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ドセタキセル・抗がん剤の概要
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分類- 植物アルカロイド |
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商品名 タキソテール
製造・販売 サノフィ・アベンティス |
抗がん剤ドセタキセルは1980年代にフランスで,針葉樹の西洋イチイの成分を抽出し,半合成されたタキサン系の薬剤です。
この薬剤は,細胞分裂時にはたらく微小管が集まる作用を阻害する作用があり,がんの細胞分裂を妨げ,抗腫瘍効果を発揮します。
同じ西洋イチイの成分から開発されたパクリタキセルの商品名はタキソールと名称が非常に似ていて,作用機序も同じです。
しかし,後発の抗がん剤であるドセタキセル(タキソテール)は,しびれなどの副作用が比較的少なく,抗腫瘍効果も高いという報告があります。
さらに,溶媒の違いから,ドセタキセルはパクリタキセルよりも過敏症の頻度は低く,投与前にはパクリタキセルと異なり,抗ヒスタミン薬などの前投薬は必須とはされていません。
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国内では臨床試験により1996年に転移・再発乳がんや進行非小細胞肺がんの標準治療薬として承認されました。
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治療対象となるがんの種類
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乳がん,非小細胞肺がん,胃がん,頭頸部がん,卵巣がんに使用されますが,特に乳がんの手術の補助療法としての効果が確認されています。
2004年以降,食道がんや子宮内膜がんにも追加承認されました。
代表的な治療法であるDC療法(ドセタキセル+カルボプラチン)は,非小細胞肺がんの第一選択の一つです。
またドセタキセル+カルボプラチンは卵巣がん抗がん剤治療の第一選択の一つです。
DCF療法(ドセタキセル+シスプラチン+フルオロウラシル)は,進行胃がんや局所進行頭頸部がんに対して,従来の標準治療であるシスプラチン+フルオロウラシル療法を上回る延命効果が証明されています.
一方,単剤で使用されることも多く,乳がんではAC療法(アドリアマイシン+シクロホスファミド), CEF療法(シクロホスファミド+エピルビシン+フルオロウラシル)後に継続して,3週ごと投与のドセタキセル療法が行なわれます。
これは,ホルモン抵抗性前立腺がんに対する標準治療でもあり,食道がん・非小細胞肺がんなどでは二次化学療法として使用されています。
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投与法
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粘りけのある注射剤で,通常,成人には,1日1回の割合で,体表面積に合わせた量を1時間以上かけ,静脈内に点滴します。
副作用であるむくみ(浮腫)を予防するため,治療前にデキサメタゾンなどのステロイド剤を投与することもあります。
添加剤としてアルコールを含んでいるため,アルコールに対しアレルギーのある方や弱い方は,事前に伝えておきましょう。
また,アルコールを使用せずに薬剤の調製をすることも可能です。
同じタキサン系抗がん剤にパクリタキセル(タキソール)がありますが,推奨されている一回あたりの投与量が,ドセタキセル(タキソテール)よりも少なく,商品名も類似しているため,投与時には,両者を間違えないように注意が必要です。
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ドセタキセルの主な副作用
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副作用として,好中球減少を中心とした重い骨髄抑制は起こりやすく,感染症には注意が必要です。
また,ドセタキセルの特徴的な副作用としては浮腫(むくみ)があります。
この抗がん剤は体液がたまりやすく,心タンポナーデ(心膜腔への体液の貯留)や肺水腫などの重症例も報告されているので,注意が必要です。
急性のアレルギー症状であるアナフィラキシーショックにも注意が必要で,このような重篤な過敏症は,初回および,2回目の投与開始から数分以内に多く発現します。
高度なアレルギー反応に起因した死亡例も報告されていいます。
一般的な副作用として,下痢や吐き気・嘔吐などの消化器症状や,発疹などがみられます。
吐き気。嘔吐は,重篤なものは少なく,対処法としてはステロイドや5-HT3拮抗薬などの予防投与が行われています。
脱毛は,ほぼ避けられない副作用であり,治療中の発毛は望めませんが,投与終了後,2~3ヶ月ごろから回復しはじめます。
浮腫と爪の変化はドセタキセルに特徴的に起こる副作用です。
長期投与による副作用として報告されています。
一方の浮腫は抗がん剤の投与中止により回復しますが,予防法としてステロイド(デキサメタゾン)による前投薬を行うことが一般的です。
爪の変化に対しては確立された対策はなく,鎮痛薬で対処したり,患部を清潔に保つようにしましょう。
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使用上の注意 |
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骨髄抑制の重い副作用が起こりすい抗がん剤なので,それによる感染症などに注意し,頻回に血液検査,肝機能検査,腎機能検査などを行う必要があります。
発熱や排尿時の痛み,せきなどがみられたら,すぐに医師に報告してください。
著しい骨髄抑制のある人や感染症を合併している人は使用できません。
ドセタキセルには,乳化剤ポリソルベートが含有されており,これに過敏症を起こした経歴がある人は使用できません。
ミコナゾールなどのアゾール系抗真菌薬や,エリスロマイシンなどの抗生物質,免疫抑制剤シクロポリスンなどとの併用は副作用を増強させます。
妊娠中の女性は原則として使用できません。授乳は中止してください。
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