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パクリタキセル・抗がん剤の概要
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分類- 植物アルカロイド |
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商品名
タキソテール |
製造・販売
ブリストル・マイヤーズ |
パクリタキセル |
日本化薬 |
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抗がん剤パクリタキセルはタキサン系に分類され,卵巣がんや子宮体がん,非小細胞肺がんの第一選択肢の一つです。
この薬剤は抗がん剤治療に適した物質を探すため,3万種の植物成分を調査し,発見されました。
リサーチトライアングル研究所におけるアメリカ国立がん研究所の研究において1967年に発見されたものです。
1971年にタイヘイヨウイチイの樹皮から,分離に成功,1993年にロバート・ホルトンらのグループにより初めて全合成されましたが,全合成は製造コストが高いというデメリットがあります。
そこで,現在ではタイヘイヨウイチイの葉よりバッカチンⅢという原料を抽出し,これに手を加え,パクリタキセルを合成しています。 |
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この抗がん剤は細胞分裂に関わる微小管に結合し,その作用を阻害することで細胞分裂を妨げ,抗腫瘍効果を発揮します。
1992年に米国で卵巣がんの治療薬として承認され,現在では,世界中で様々ながんの治療薬として広く使用されています。
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治療対象となるがんの種類
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代表的なTC療法(パクリタキセル+カルボプラチン)は,卵巣がんの標準治療となっています。
乳がんでは,AC療法(アドリアマイシン+シクロホスファミド)やFEC療法(フルオロウラシル+エピルビシン+シクロホスファミド)後に,パクリタキセルの分割毎週投与法(weekly投与)が行われています。
胃がんでは,主に二次治療以降で,パクリタキセル療法が使用されています。
さらに,子宮体がん,非小細胞肺がんの第一選択肢の一つとなっています。
卵巣がん,非小細胞肺がん,乳がん,胃がん,子宮内膜がんなどに使用されています。
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投与法
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液体の注射剤で,成人には通常1日1回体表面積に合わせた量を静脈に点滴し,3週間以上の投与休止期間をおきます。
副作用のアレルギー反応を予防するため,抗がん剤治療前にステロイド剤デキサメタゾンや,気管支拡張剤ジフェンヒドラミン,胃酸分泌抑制剤を投与します。
シスプラチンとの併用では,シスプラチンを先に投与した場合,逆の投与順序に比較して,副作用である好中球減少が増強されるため,パクリタキセルの後,シスプラチンの投与がを行うなのが一般的です。
一方,抗がん性ドキソルビシンの投与はこの逆で,ドキソルビシンを投与した後にパクリタキセルが投与されます。
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パクリタキセルの主な副作用
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白血球減少,血小板減少などの骨髄抑制が起こりやすいという特徴があり,免疫力低下による敗血症や,脳出血による死亡例も報告されています。
パクリタキセルは,投与後まもなく,アレルギー症状がみられることが多いという特徴があります。
具体的には過敏症として,頻脈,紅潮,血管浮腫,発汗,発疹などの症状が認められ,多くは投与10分以内に発現します。
重篤化すると,血圧低下やショックに至ることがあり,抗がん剤治療開始後,1時間はモニタリングを行い注意が必要です。
また,植物アルカロイド系に特徴的な,手足のしびれ,刺激感,灼熱感などの末梢神経障害も起こります。
これらの障害は現在のところ,有効な治療法が確立されていません。
その他,関節や筋肉の痛みが高頻度で起こり,吐き気・嘔吐,脱毛などもみられます。
まれに,間質性肺炎や,消化性潰瘍,腸閉塞,心不全,脳卒中,腎不全,聴力障害などを起こすこともあります。
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使用上の注意 |
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パクリタキセルは骨髄抑制の重い副作用が起こりすい抗がん剤なので,それによる感染症などに注意し,血液検査,肝機能検査,腎機能検査など頻繁に行う必要があります。
発熱や悪寒,排尿時の痛み,せきなどがみられたら,すぐに医師に報告してください。
著しい骨髄抑制のある人や感染症を合併している人は使用できません。
アナフィラキシーショックなどのように,重いアレルギー症状の発現を予防するため,使用前には必ず前投薬を行う必要があります。
また,アレルギー体質の人は,事前に医師に伝えておきましょう。
下痢症状も起こりやすいので,下痢を起こしやすい体質の人も事前に医師に伝えておきましょう。
抗がん剤シスプラチンとの併用では,手足のしびれなど,末梢神経障害が起こりやすくなり,また,ドキソルビシンとの併用では不整脈やうっ血性心不全などの副作用があらわれやすくなります。
末梢神経障害に対しては,しびれを緩和する方法として,マッサージや加温,手指の運動,患部を締め付ける靴下や靴を履かない,などの方法があります。
また,皮膚の損傷予防のため,熱いものや冷たいものに触れるときや,深爪には十分に注意しましょう。
妊娠中の女性は原則として使用できません。授乳は中止してください。
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