|
|
|
|
|
|
|
ボルテゾミブの概要
|
|
|
|
分類- 分子標的薬剤 |
|
|
|
|
|
|
抗がん剤ボルテゾミブ(ベルケイド)は,がん細胞内にあるタンパク分解酵素プロテアソームを阻害することにより,アポトーシスを誘導するだけでなく,細胞の増殖や血管の成長を抑える分子標的薬です。
ボルテゾミブ(ベルケイド)はアメリカで開発され,プロテアソーム阻害剤と呼ばれ,これまでにない作用のメカニズムを持ち,多発性骨髄腫や形質細胞性骨髄腫の治療に使用されています。
|
|
臨床試験の治療成績
|
|
|
これまで,多発性骨髄腫の抗がん剤治療は, MP (メルファラン・プレドニゾロン)療法が中心でしたが,自家造血幹細胞移植が標準的治療として実施されるようになると,移植対象者ではVAD(オンコビン+アドリアシン+デカトロン)療法による初回治療が行われてきました。
VAD療法と大量デカトロン単独療法とは,ほぼ同等の有効性と評価されています。
海外では,再発多発性骨髄腫669例で大量デカトロンとの比較試験(APEX試験)が行われ,評価可能627例中,奏効率がデカトロン群18% (完全奏効率1%未満)に対し,ペルケイド群は38% (完全奏効率6%)と有意に高く,無増悪生存期間も明らかに延長していました。
日本で行われた試験でも奏効率は30%を示し,多発性骨髄腫に対して初回からの治療も承認されました。 |
|
また,自家造血幹細胞移植の適応にならない症例682人に対し, MP療法とVMP療法(MP+ペルケイド)の比較試験が世界的に行われ,無増悪生存期間は,MP群の16.6ヵ月に対し,
VMP群では24旧力月と明らかな延長が認められ,完全奏効率も4%対30%とVMP群が優れていることが明らかとなりました。
さらにこの研究で,腎障害のある症例でも有効性が劣らないことが示されています。
一方,自家造血幹細胞移植の適応となる年齢層に対しても,BD療法(ベルケイド+デキサメタゾン)は奏効率・完全奏効率で,それまで標準的とされてきたVAD療法よりも優れていることが報告されています。
|
|
治療対象となるがんの種類
|
|
|
多発性骨髄腫,形質細胞性骨髄腫
|
|
投与法
|
|
注射剤で,点滴投与または皮下注射。
初めて抗がん剤治療をうける患者で,造血幹細胞移植非適応の場合,MPB療法(メルファラン+プレドニソロン+ボルテゾミブ)が行われます。
治療後に再発した場合や他の抗がん剤が無効であった難治性の場合は単独投与がおこなわれます。
ベルケイド単体
1.3mg/m2/日(一日1回)を週2回,2週間投与,10日間休薬(dayl, 4, 8, 11に投与)を1コースとして,8コースまで継続。
8コースを超えて継続使用したデータが少ないので,継続使用の場合は注意を要する。それぞれの投与間隔は,最低72時間開ける(月曜日と木曜日,または火曜日と金曜日に投与)
ベルケイド維持療法
1.3mg/m2日(一日1回)の週1回投与を4週続け,1週間休薬(day 1, 8, 15, 22に投与),この5週間を1コースとして継続。
BD療法(ベルケイド+デカトロン)
ベルケイド゛使用の当日と翌日にデカトロン20mg (0.5mg錠を40錠)を経口投与。
|
|
ボルテゾミブ(ベルケイド)の主な副作用
|
|
|
発熱をはじめ,下痢・便秘,嘔吐などの消化器症状,腎機能障害,倦怠感,頭痛,めまい,目のかすみ,味覚障害,高血糖などがみられます。
重大な副作用のとしては,好中球減少,血小板減少などの骨髄抑制,間質性肺炎,心臓血管障害,末梢神経障害などがみられます。
|
|
使用上の注意 |
|
|
国内の臨床試験では,間質性肺炎の副作用での死亡例も報告されており,注意が必要です。
息切れ,呼吸困難,咳などの自覚症状が出た場合,間質性肺炎の前兆とも考えられますので,すぐに医師に報告してください。
点滴で投与されるより,皮下投与の方がしびれなどの末梢神経障害が少ないことがわかり,皮下投与することも承認されました。
末梢神経障害は,休薬や減量により,改善がみられる場合が多いので,慎重に投与します。
この抗がん剤や,マンニトールまたはホウ素過敏症の既往歴のある場合は使用することはできません。
過去に肺障害,肝臓障害があった患者や高齢者に対しては,慎重に使う必要があります。
この抗がん剤の使用により,めまい,失神,立ちくらみ,目のかすみが現れることもあるので,自動車の運転などは行わないようにします。
妊婦または妊娠可能性がある場合原則として使用することはできません。
|
|
|
|
|
|