分子標的薬ダサチニブ(スプリセル)

   ダサチニブ(スプリセル)は複数の酵素を阻害する抗がん剤で白血病の治療に使用される分子標的薬です。

  
                              ダサチニブ(スプリセル)
                                 
 

抗がん剤治療と副作用のすべて

分子標的薬ダサチニブ(スプリセル)の特徴や投与法,副作用や治療対象のがんの種類や使用上の注意などを解説

スポンサードリンク     
 
   
    がん治療のすべてがわかる -がん治療最新情報-     
 - contents -
  大腸  肝臓  食道  膵臓   
子宮体  子宮頸  前立腺  脳腫瘍  乳房  頭頸部 
胆道  腎臓  膀胱  卵巣  骨肉腫  甲状腺 
悪性リンパ腫  多発性骨髄腫  白血病     

  効くがんと効かないがん                  副作用の種類と対処法 
    治療が適応となる患者                  遺伝子検査と診断
    治療前に確認すべきこと                  化学療法の種類と特徴 
    抗がん剤の奏効率                  アルキル化剤 
    抗がん剤の効果判定                  代謝拮抗剤 
    副作用の種類と出現時期                  植物アルカロイド 
    臨床試験と標準治療                  抗がん性抗生物質 
    補助療法                  プラチナ製剤 
    多剤併用療法                 ホルモン剤 
    化学放射線療法                  分子標的治療薬 
    局所投与法                  化学療法の長所と問題点 
    減量抗がん剤療法                  支持療法 
    共存療法・休眠療法                  治療中の食事 
    免疫最大化がん治療                  これからの抗がん剤治療 
    がん幹細胞と化学療法                  化学療法Q 


 
 

             

ダサチニブの概要

分類- 分子標的薬剤
   
商品名
スプリセル
製造・販売
ブリストルマイヤーズ


ダサチニブ(スプリセル)は,細胞増殖に関与する複数の酵素を阻害することで,抗腫瘍効果を発揮するマルチキナーゼ阻害分子標的薬です。

ダサチニブ(スプリセル)は,慢性骨髄性白血病(CML)と,再発または難治性のフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病に対する治療薬として承認されています。

フィラデルフィア染色体は,異常タンパクであるBcr-Ablを生成し,ABLチロシンキナーゼの異常活性化を引き起こすことで,細胞増殖亢進,アポトーシス(細胞自死)の減少といったがんの性質をもたらします。

この抗がん剤は,Bcr-Ablチロシンキナーゼだけでなく,SRCファミリーキナーゼ,c-KIT,EPH(エフリン)A2受容体およびPDGF(血小板由来増殖因子)β受容体に対するATP(アデノシン三リン酸)の結合をも阻害することで,抗腫瘍効果を発揮します。

ダサチニブは上記のように,多くの標的があるため,イマチニブなど他の抗がん剤が効果を示さなくなった場合でも有効と考えられています。

この抗がん剤は日本では,2009年1月に承認されています。

その後,初発の慢性骨髄性白血病を対象に,ダサチニブとイマチニブとを比較する国際共同臨床第Ⅲ相試験においてダサチニブの優越性が示され,日本では2011年6月に初発の慢性骨髄性白血病への適応拡大が承認されています。


治療対象となるがんの種類

   

慢性骨髄性白血病(CML),再発または難治性のフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病(Ph+ALL)。



  投与法  

錠剤で,50mgと20mgの2種類があります。

CMLの場合,通常,慢性期では1日1回10Omg(症状により適宜増減。1日1回140mgまで増量可)を経口投与します。

移行期または急性期では1回70mg (症状により適宜増減。 1回90mgを1日2回まで増量可)を1日2回経口投与します。

Ph+ALLの場合,通常1回70mg (症状により適宜増減。1回90mgを1日2回まで増量可)を1日に2回経口投与します。



 

ダサチニブ(スプリセル)の主な副作用

   

ダサニチブは, ABL以外のキナーゼ活性を阻害する作用もあり,この抗がん剤の治療標的以外のキナーゼ活性を抑制することで引き起こされる効果(オフターゲット効果)による副作用が出現することがあります。

ダサチニブに特徴的な副作用である胸水貯留などの体液貯留は, PDGFRβキナーゼ阻害によるオフターゲット効果が原因の1つと言われています.

血小板減少などの副作用は,約50%の患者にみられ,その頻度は,慢性期に比較して,移行期・急性期の慢性骨髄性白血病やフィラデルフィア染色体陽性(Ph+
ALL)の患者で頻度が高いとされています。

このような血小板減少の影響と考えられる消化管出血や脳出血などの出血が報告されています。

その他,重い副作用として骨髄抑制,感染症,間質性肺疾患,腫瘍崩壊症候群,QT延長症候群,心不全,心筋梗塞,急性腎不全,肺動脈性肺高血圧症が報告されています。



  使用上の注意     

この分子標的薬の抗がん剤治療において,特徴的にみられる胸水は,さまざまな時期に出現するため,内服中は常に注意する必要があります。

胸水が疑われる呼吸困難や空咳,胸痛などがみられた場合,すぐに報告してください。

胸水が多いときは一時的にダサチニブによる治療を中止し,状態が改善してから減量・再開を検討する必要があります。



ダサチニブは主として体内に存在する薬物代謝酵素CYP3A4による代謝を受けるため,グループフルーツジュースやアゾール系抗真菌薬などCYP3A4阻害作用あある薬剤を服用した場合,この薬剤の血中濃度を上昇させる可能性があります。

胃潰瘍・十二指腸潰瘍治療薬H2ブロッカー,プロトンポンプインヒビターや制酸剤(水酸化アルミニウム,水酸化マグネシウム含有物など)は,胃内pHを上昇させることによりダサチニブの吸収を抑制し,血中濃度を低下させる可能性があります。



次の場合は使用することはできません。

この抗がん剤に含まれる成分で過敏症の既往歴がある人や妊婦または妊娠可能性のある人


次の場合は慎重に使う必要があります。

副作用のためイマチニブによる治療ができなくなったCMLの患者や過去に間質性肺炎,肝臓障害になったことのある人,心電図QT間隔延長のおそれ,またはその既往歴のある人,血小板機能を抑制する薬剤,あるいは抗凝固剤を使用した人,過去に心臓障害がある,または現在心臓に障害がある人,高齢者。

出血の予防のため,定期的に血液検査を実施し,血小板数のモニタリングをおこない,必要に応じて減量・休薬で対応する必要があります。

血小板減少による出血傾向に対しては,柔らかい歯ブラシを使用することや,肛門部を傷つけないように緩下剤などで便の状態を整えることなどが必要です。

また,皮下出血が広がる場合,血便や下血,その他の出血が止まらないなどの症状があれば,すぐに報告してください。

好中球減少に対する感染予防のため,手洗い・うがいを励行し,外出をする際はマスクを着用しましょう。



           
               分子標的薬のページへもどる             
 
 スポンサードリンク
   


 
     
   
   末期でもあきらめない! 世界が認めた抗ガン漢方薬! サンプル無料!
 
 
 Copyright(C)2013 All Rights Reserved