トラスツズマブ(ハーセプチン)

     トラスツズマブ(ハーセプチン)はHER2受容体を標的とする分子標的薬

  
                              トラスツズマブ(ハーセプチン)
                                 
 

抗がん剤治療と副作用のすべて

分子標的薬トラスツズマブ(ハーセプチン)の特徴や投与法,副作用や治療対象のがんの種類や使用上の注意などを解説

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トラスツズマブの概要

      分類- 分子標的薬剤
         
商品名 ハーセプチン 製造・販売 中外製薬


トラスツズマブ(ハーセプチン)は,米国のジェネンテック社が開発した遺伝子組み換えによるヒト化モノクローナル抗体の分子標的薬です。

この分子標的薬はヒト化モノクローナル抗体薬で,マウスのモノクローナル抗体由来の部分は約5%,残りの95%はヒトに由来しています。


トラスツズマブ(ハーセプチン)は米国において,1998年乳がん治療薬として世界初のヒト化モノクローナル抗体治療薬として,FDA で認可されました。

一方,日本では,2001年には,ト上皮成長因子受容体2型(HER2)の 過剰発現が確認された転移性乳がんに対する治療薬として認可されました。

この抗がん剤の承認は,分子標的薬としては,日本初の承認となります。



トラスツズマブ(ハーセプチン)の作用の特徴として,細胞膜上にあるHER2受容体に特異的に,結合することで,その結合した薬剤に免疫細胞が集まり,がん細胞を攻撃するという点があり,これをADCC活性と呼びます。

さらには,この薬剤の抗体がHER2受容体に結合することで,受容体の数を減少させて,がん細胞の増殖信号を抑制するというはたらきもあります。

国内の臨床試験では,ドセタキセル他の抗がん剤との併用で,有効性が確認されています。



治療対象となるがんの種類

   

HER2過剰発現が確認された乳がんの術後補助化学療法(2008年2月追加
(術前補助化学療法の有効性・安全性は未確立)

切除不能のHER2過剰発現が確認された転移性乳がん

切除不能のHER2過剰発現が確認された進行再発胃がん



 

投与法

 

白色の注射剤。

術後の補助抗がん剤治療では,初回投与トラスツズマブ(ハーセプチン)8mg/kg,2回目以降は6mg/kgを,90分以上かけて点滴します。(21日間隔)

トラスツズマブとドセタキセルの併用療法による転移性乳がんの治療では,初回投与トラスツズマブ4mg/kg,2回目以降は2mg/kgを90分以上かけて点滴します。(7日間隔) ドセタキセルは70mg/㎡で1時間以上かけて点滴します。(21日間隔)



 

トラスツズマブ(ハーセプチン)の主な副作用

   

トラスツズマブ(ハーセプチン)の特徴な副作用として,点滴中~点滴開始後24時間以内に起こる,インフュージョンリアクション(過敏症状)があります。

この反応は,特に初回投与時に多く,2回目以降の出現は少なくなります。

この症状は発熱や悪寒,悪心,発疹,嘔吐,頭痛,咳などであり,治療を受けた約40%の患者に発現するといわれています。

これらは,アレルギー反応であり,これが悪化した場合,呼吸困難やけいれんなどの全身性のアレルギー反応であるアナフィラキシー様症状となり,死亡例も報告されています。
す。

その他の副作用として,倦怠感,骨髄抑制,浮腫,肝障害,腎障害,肺障害などがみられることもあります。

うっ血性心不全など心障害によるが起こることもあります。



  使用上の注意     

アナフィラキシー様症状は,肺転移や循環器疾患により,安静時呼吸困難のある患者に多く出現することが報告されているので,患者の病状を把握し,重篤な症状が起こったとき速やかに対応できるような環境で投与することが必要です。

また,息切れや咳などの呼吸器症状がみられた場合には,すぐに医師に報告してください。

心障害の重篤例や死亡例が報告されていることから,トラスツズマブ開始前には,心エコーなどによる心機能のチェックを行うことが必要で,投与中にもおおよそ3ヵ月ごとに検査を行う必要があります。

また,アントラサイクリン系の抗がん剤治療を受けている場合,または過去にその薬剤による治療を受けたことがある場合には,心障害を起こしやすくなるリスクがあるので注意が必要です。

トラスツズマブ(ハーセプチン)は抗体薬で,ウシの心臓および脾臓成分を製造工程で使用しているため,伝達性海綿状脳症(TSE)になるリスクもあることから,疾病の治療上の必要性を十分検討して使用することが指摘されています。




         
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