がんの遺伝子検査と診断薬

 抗がん剤の個別化治療に貢献する遺伝子検査

 
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がんの遺伝子検査とは

   


がんに関係した遺伝子検査には三種類あります。

一つめはその人にがん細胞が存在するリスクがあるかどうかの検査です。現在,その検査技術は進歩し,血液検査によるDNA解析により,画像診断でも発見が困難な5mm以下のがんも発見できるようになっています。


さらに,この遺伝子解析と腫瘍マーカーを組み合わせることにより,超早期から,中期,晩期までのがんの存在リスクを調べることが可能になりました。

ただし,この検査は存在リスクという,いわば可能性の診断であり,がんと診断するためには,画像診断や組織細胞診断が必要となります。


二つめは採取したがんの組織のDNAを解析し,その特徴やその悪性度を判断し,その後の治療方針に役立てようとするものです。

特に特定のがんの分子をターゲットとする分子標的治療薬においては,その効果の有無を事前に調べることができる検査でもあり,その診断を可能にする薬剤をコンパニオン診断薬と呼び,近年その重要性が高まってきています。


三つめは遺伝的性質がある腫瘍の遺伝子の保有者かどうかの診断です。

これは悪性腫瘍に関係した遺伝子変異検査とは異なり,生殖細胞系列変異(生まれつき持っている病的な変異)を調べるものです。


たとえば,乳がんや卵巣がん5〜10%は,遺伝的な要因が強く関与して発症していると考えられています。

最近では,米国の女優アンジェリーナ・ジョリーさんが遺伝子に変異が見つかり,乳がんになる確率が87%といわれ,予防のために両乳房の切除手術を受けたというニュースもありました。




抗がん剤の個別化治療に重要性を増す遺伝子検査

   

これまで,抗がん剤治療では標準治療と呼ばれるマニュアルはあっても,その効果は個人差が大きく,投与してみないとわからないという問題がありました。

そのために,その患者に効果がない抗がん剤を不必要に投与してしまったり,個人差を考慮できずに必要以上の量を投与してしまうということもありました。

しかし最近では
薬剤標的となるタンパク質や薬剤代謝酵素を規定する遺伝子の変異や発現量を調べることが可能となり,特定の抗がん剤の有効性や副作用発現の個人差を把握して,個人個人に応じた投薬の種類や投薬量を決定することができるようになりました。

これが,最近話題になっているテーラーメイド医療(個別化医療)です。


特にがん細胞の特定のタンパクを標的とする分子標的治療薬は,効果がある遺伝子型との関連が解明され,効果がある治療薬の選択が可能となってきました。

たとえば,非小細胞肺がんに効果があるイレッサ(ゲフィチニブ)は,がんの増殖に関係するチロシンキナーゼという酵素を阻害する分子標的治療薬です。

多くのがんではこのチロシンキナーゼが活性化され,この酵素のはたらきによりがん細胞が増殖していきます。

この薬剤は日本では承認申請から半年という短期間で世界にさきがけて承認され,すぐに保険適応にもなっています。

しかし,実際に投与してみると,劇的に効果のある人もいれば,ほとんど効果のない人もいて,その原因が不明でした。

しかし,現在では研究が進み,標的とするEGFRチロシンキナーゼが遺伝子変異を起こしている患者が効果があることがわかり,事前に遺伝子検査を行うことで,事前に予測できるようになったのです。



コンパニオン診断薬の登場で個別化治療が推進


すでに述べたように,抗がん剤の有効性や副作用を予測するために,がんの遺伝子の変異の状態や標的分子の発現などを調べる医薬品のことを,「コンパニオン診断薬」といいます。

近年,細胞の変異などを標的にする分子標的治療薬が開発され,事前に効果のあるがんを特定できるコンパニオン診断薬はこれからの治療になくてはならないものになり,国内でもすでにいくつかの診断薬が承認されています。

乳がん治療の分子標的薬として,卜ラスツズマブやラパチニブが開発されていますが,この診断薬では,投与前にこの治療薬の標的となるHER2という遺伝子が過剰に発現しているかどうかか調べるために用いられます。

また,トラスツズマブは胃がんにも適応拡大されたので,現在は胃がん患者にもこの診断薬が適用されています。


また,大腸がんの分子標的治療薬のセツキシマブやハニツムマブは,K−RAS遺伝子が変異している患者には効果がなく,変異がない(野生型)場合に治療効果が高いことが分かり,その診断薬も承認されました。 

2012年には,CCR4陽性の成人T細胞白血病リンパ腫(ATL)の分子標的治療薬モガムリズマブ(ポテリジオ)とその診断薬(ポテリジオテスト)が同時に承認され,さらに同年3月にはALK陽性進行非小細胞肺がんに対する治療薬クリゾチニブの診断薬も承認されました。

このように,世界中の製薬会社で競うように新薬とコンパニオン診断薬の同時開発が行なわれており,これからはさらに抗がん剤の「個別化治療」が進み,その効果もより大きく,的確になっていくと予想されます。

     
 
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