|
|
|
|
|
|
ゴセレン・抗がん剤の概要
|
|
|
|
|
|
分類- ホルモン剤 |
|
|
|
|
|
|
|
商品名 |
製造・販売 |
ゾラデックス |
アストラルゼネカ |
|
ゴセレリンは1970年代にイギリスで開発されたホルモン剤で,LH-RHアゴニスト製剤と呼ばれる抗がん剤です。
乳がんのがん細胞はホルモン感受性が高い,すなわちエストロゲンなどのホルモンの影響で増殖しやすいものもあります。
閉経前は,エストロゲンの多くは卵巣から分泌されています。
卵巣でのエストロゲンの産生は,脳の視床下部から分泌されるLH-RH(性腺刺激ホルモン放出ホルモン)を介して,下垂体より性腺刺激ホルモンが分泌されることにより,おこなわれています。
LH-RHアゴニスト製剤は,LH-RH とよく似た構造を持つ物質です。
下垂体のLH-RH受容体にLH-RHと競合的に結合することで,性腺刺激ホルモンの分泌を阻害,卵巣からのエストロゲンの産生を抑制することで,がん細胞の増殖を抑制します。 |
|
現在,同じメカニズムで作用する抗がん剤として,ゴセレリンの他にリュープロレリン(リュープリン)があります。
抗がん剤治療の一種であるCMF療法(シクロホスファミド+メトトレキサート+フルオロウラシル)を6ヵ月間施行する治療とLH-RHアゴニスト製剤を2年間使用する治療を比較すると,再発抑制効果はほぼ同等とされています。
一方,LH-RHアゴニスト製剤と抗エストロゲン薬を併用する治療は, CAF療法(シクロホスファミド+ドキソルビシン+フルオロウラシル)やAC療法(ドキソルビシン+シクロフォスファミド)による治療と再発抑制効果はほぼ同等と報告されています。
LH-RHアゴニスト製剤は,乳がんだけでなく前立腺がんの治療にも使用されています。
|
|
治療対象となるがんの種類
|
|
|
前立腺がん,閉経前乳がん,子宮内膜症
|
|
投与法
|
|
注射剤で,体内に少しずつ放出されて効果が長時間継続する抗がん剤です。
通常,前腹部に皮下投与します。
投与前に局所麻酔を行うことがあります。
ゴセレリンは1ヵ月に1度,前腹部に皮下に注射を行います。
乳がんの術後療法として,投与期間は2年から5年間継続して行うことが一般的ですが,適切な治療期間に対するコンセンサスは得られていません。
LH-RHアゴニスト製剤を単独で使用することはほとんどなく,多く場合抗エストロゲン薬と併用して使用します.
|
|
ゴセレリンの主な副作用
|
|
|
ホルモン剤にみられる共通の特徴として,重い副作用があらわれることはまれですが,エストロゲン濃度を閉経時のレベルにまで下げるため,更年期障害に類似した症状がみられます。
更年期様の症状とは,突然の発汗,のぼせ,などのホットフラッシュ,動悸,うつ状態,骨密度の低下,月経異常,睡眠障害などがあります。
施行時の副作用として,注射部位の出血・硬結があります.
体重増加も認められ,特にタモキシフェンとの併用で増強されます.
まれですが,注意すべき副作用として,間質性肺炎,アナフィラキシー症状,肝臓障害,激しい頭痛を伴う下垂体卒中があります.
また,副作用として,一時的に腫瘍が大きくなるフレア現象がみられることもあります。
|
|
使用上の注意 |
|
|
現時点では,本抗がん剤のようなの単独投与は有効性を示すエビデンスが不足しているため推奨されていません。
またアロマターゼ阻害薬とLH-RHアゴニスト製剤との併用は,現時点ではエビデンスが少なく,術後療法としては推奨されていません.
胎児に奇形きたす可能性があるので,この抗がん剤の使用中は避妊が必要ですが,経口避妊薬(ピル)は,本剤の作用に悪影響を及ぼすので使用できません。
副作用によって,体重が増加した場合,食事や適度の運動にてコントロールできるようこころがけましょう。
更年期様症状は,次第に軽減してくる場合も多いので,しばらく経過を観察します。
分娩障害や流産などのリスクがあるため,妊娠または妊娠している可能性のある場合は使用できません。授乳は中止してください。
|
|
|
|
|