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皮膚障害の特徴と原因 |
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肌に湿疹や赤みがでるなどの皮膚障害は,抗がん剤により皮膚の細胞がダメージを受け,基底層の細胞分裂に異常がおきたり,角質層の水分保持やバリア機能が低下したり,汗腺や脂線の分泌が抑制されるなどして,起こります。
また,抗がん剤が血管からもれる血管外漏出も皮膚障害の原因となります。
近年では分子標的薬による副作用も増えています。 分子標的薬はがん細胞の特異分子である標的を狙って攻撃します。
ところが,その標的は正常な皮膚組織の中にも存在しており,がん細胞を攻撃すると同時に皮膚も攻撃してしまい,皮膚障害が起こると考えられています。
皮膚障害の症状としては,発疹・にきび・かゆみ・乾燥・発赤・色素沈着・爪の変化(爪囲炎)・脱毛など様々で,時に疼痛を伴うこともあります。
これらの皮膚障害がみられる時期は症状により異なり,皮疹は治療開始後1〜2週で,皮膚乾燥は5週前後,爪囲炎は8週前後にあらわれる傾向があります。
また,抗がん剤によって,手,足,爪に現れる皮膚障害を手足症候群と呼んでいます。
手足がピリピリしたり,チクチクする感覚の以上や,手や足の全体が赤みを帯びて腫れたり,皮膚がひび割れたりし,さらに重症化すると水泡やびらんなどにより,はっきりした痛みを感じるようになります。
これらの皮膚障害が出やすい時期を考慮して皮膚をよく観察し,早期に対処することによって症状をうまくコントロールしていくことが大切です。
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副作用の治療法 |
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皮疹に対しては,炎症を抑える副腎皮質ステロイド薬の軟膏を使用します。
軟膏が吸収される程度は,体の部位によって異なるため,皮疹がある部位と症状の度合いに合わせた強さのステロイド剤を使用します。
皮膚が乾燥し,かゆみをともなう場合の基本は保湿ですが,抗ヒスタミン軟膏や抗炎症作用のある抗生物質の飲み薬を用いることがあります。
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患者の対処法 |
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対策としては,常に皮膚を清潔に保ち,乾燥させないよう保湿に努めることが大切です。
刺激のすくない石けんやシャンプーを使用したり,保湿剤を塗るなどの方法があります。
また治療中は強い日光を避け,紫外線から肌を守り,摩擦などの刺激や圧迫などの負担を避けるように注意しましょう。
足の爪は細菌が繁殖しやすいので,毎日石けんで足の指を一本ずっていねいに洗いましょう。
また,抗がん剤の血管外漏出にも注意し,点滴後の皮膚の状態にも気を配りましょう。
いずれにせよ,予防と早期の対処が大切なので,皮膚の状態を知るために,日頃から肌をよく観察し,異常に気がついたら,早めに医師に相談しましょう。
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