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末梢神経障害の特徴と原因
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末梢神経とは中枢神経である脳や脊髄から身体の各部位に伸びている神経で,知覚・運動を制御する体性神経系と内臓・血管などの自動的制御に関わる自律神経系とに分けられます。
この神経細胞の軸索という部位に抗がん剤が作用することで,神経の信号伝達がうまくいかず,手足のしびれや痛みの症状が現れると考えられています。しかし,そのしくみは複雑でまだ詳しくは解明されていません。
抗がん剤の中でも,特に植物アルカロイド薬剤は細胞分裂時に機能する微小管の働きを阻害し,がん細胞を死滅させます。
微小管は神経細胞に関わっているため,手足のしびれなどの神経障害が起こることがあります。
末梢神経障害が出やすい抗がん剤としてはパクリタキセル,ドセタキセル,ビンクリスチン,ビンデシン,ビンブラスチン,ビノレルビンなどの植物アルカロイド系の抗がん剤の他,シスプラチンやオキサリプラチンなどの白金製剤などがあります。
症状は手足のしびれから始まることが多く,手足の指先にピリピリしたりジリジリしたりするようなしびれを感じます。そして,薬剤の量や頻度が多くなるほど症状も重くなる傾向があります。
進行すると「箸が持ちにくい」「ボタンがかけにくい」「転びやすい」「温度を感じにくい」など多様な症状が現れます。
副作用の末梢神経障害で,大きな問題点は,薬剤の投与を中止しても治るまでに数ヶ月〜1年以上かかり,場合によっては完全に治らない場合もあることです。
したがって,しびれなど異常を感じたら,すぐに医師に報告しましょう。
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副作用の治療法
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これまで,抹消神経障害の痛みのある時には消炎鎮痛薬やモルヒネなどの麻薬性鎮痛薬を使用するなどの対症療法が中心で,治療法は確立していませんでした。
また,必要に応じて,抗けいれん薬,抗うつ薬,などを
投与することもありました。
しかし,末梢性神経障害性疼痛薬として,2010年にファイザー製薬の「リリカカプセル」(プレガバリン)が承認され,その効果が期待されています。
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患者としての対処法 |
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患者側の対策としては冷えがしびれ感を増長させることが多いので,体を冷やさず,あたためておく工夫が必要です。
たとえば,ぬるめの温度で入浴したり,カイロや服で体を温めておくことも大切です。
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また,手足を温めながら,軽くマッサージをしたり,手足をお湯と水に交互に入れることも,末梢循環が刺激され,効果的です。
プラチナ製剤のオキサリプラチン(エルプラット)は,寒冷刺激でこのような抹消神経障害が起こることがあります。
特に冷たいものを飲んだり,冷たいものに触れたりするという行為は避け,特に冬は肌が冷たい外気にさらされないよう注意しましょう。
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