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抗がん剤の副作用が起こる理由
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皆さんもよくご存じのように,抗がん剤治療では必ずといっていいほど副作用がでます。
その主な副作用はその種類も多く,吐き気,おう吐,食欲不振,脱毛,骨髄抑制,下痢,便秘,口内炎,味覚の変化,貧血,感染症,皮膚の異常,肝機能障害,腎障害,浮腫など,様々です。
ではなぜこのように多くの副作用がでるのでしょうか?
抗がん剤は,毒ガスが起源ということからもわかるように「毒をもって毒を制す」薬剤です。
この薬は,がん細胞が細胞分裂を行う時に作用しますが,がん細胞は際限なく細胞分裂をおこなうので,抗がん剤の影響で死滅します。
しかし,正常細胞でもこの細胞分裂は行われ,正常細胞の中でも特に細胞分裂のさかんな部位ではより細胞が破壊されることになります。
このような薬剤を「細胞障害性抗がん剤」といいます。
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しかも,投与後は血流に乗って全身を巡るため,影響を受けた部位は次々とダメージを受け,副作用も様々なものが出てきます。
その中でも,脱毛や口内炎,下痢,おう吐がよく副作用として見られるのは,これらの毛根の細胞や口腔粘膜,消化管粘膜は特に正常細胞の中でも細胞分裂さかんな部位だからです。
また,白血球の減少や貧血などもよく副作用として見られますが,これは骨髄にあるすべての血球を産生する造血幹細胞がダメージを受け,白血球や赤血球が産生されなくなるためです。これを骨髄抑制といいます。
白血球の一種の顆粒球は,体内に侵入した細菌を攻撃しますが,この顆粒球も減少すると,感染症にかかりやすくなります。
また,白血球の一種であるリンパ球は免疫細胞でもありますが,これが減少すると免疫によりがん細胞を抑える機能が低下することになります。
正常細胞には影響を与えず,副作用もでず,がん細胞だけにダメージを与える抗がん剤はできないのか?
そのような,発想からできた薬剤が分子標的治療薬です。
この分子標的薬は,がん細胞のみが多く利用し,正常細胞ではあまり利用しないような分子に作用し,がんの増殖を止めるというはたらきがあります。
したがって,正常細胞は影響を受けずに,副作用も小さいと考えられていました。
しかし,従来のものとに比較すると,副作用は軽いことが多いものの,皮膚の炎症や時として,心不全,間質性肺炎,血栓症,高血圧,消化管穿孔など重篤な副作用を起こすこともあります。
これは,がんの細胞上に数多く発現している分子標的薬がターゲットとしている分子でも,正常細胞にも一部存在し,影響を受けてしまうからだと考えられています。
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副作用がつらい時にはがまんしすぎない |
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抗がん剤治療では,自覚症状のあるさまざまな副作用が現われます。その場合には,無理にがまんをせず,積極的に医師に伝ましょう。
よく,副作用は薬剤が効いている証拠だと考え,がまんしてしまう方も多いようですが,副作用が強いから治療効果があるということではないのです。
むしろ,副作用は仕方がないと,がまんを続けていると,体力が奪われるだけでなく,精神的にもダメージが蓄積し,治療も継続が困難になってしまいます。したがって,医師に症状を伝え,必要以上にがまんしすぎないことが大切です。
現在では,副作用おける様々な症状や苦痛をとる治療「支持療法」も進歩し,以前よりもかなり対策も進み,副作用が軽減されるようになりました。
たとえば,吐き気,おう吐に関しては,有効な制吐剤が開発されています。さらに,これまで治療が困難とされていた手足のしびれなどの末梢神経障害に対しても,治療薬が開発されています。
このように,副作用に対応するために多様な薬剤がありますし,副作用がつらい場合には薬の種類を換えたり,投与量を減らしたりすることもあります。
また,場合によっては治療を休止し,体力の回復を待った方がよい場合もあります。
ですから,副作用がつらい時には,医師によく相談し,決して無理をしないことが大切です。
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抗がん剤の副作用の一覧・種類と対策・対処法 |
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