肝臓がん

   
       肝臓がんの抗がん剤治療        
抗がん剤治療と副作用のすべて

最新治療から副作用まで肝臓がんの抗がん剤治療を詳しく解説

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肝臓がんの治療 

 
 
   
肝臓がんは増加傾向にあるがんです。最近では,このがんを発症する人は年間4万人以上,死亡者数は年間3万人以上に達しています。

死亡者数では部位別がんの中で,男性は4位,女性では6位です。男女とも50歳代以降に多くみられる傾向があります。

肝臓は「沈黙の臓器」ともいわれ,多少のダメージを受けても回復しますが,がんの自覚症状があらわれたときには,すでに末期になっている場合も多いという特徴があります。

肝臓がんは,原発性のものと他の臓器から転移した転移性のものとに分けられます。

原発性肝臓がんはその約9割が肝細胞がんとよばれるもので,その他には胆管細胞がんや小児にみられる肝芽腫などがあります。

肝臓がんは,肝臓内で転移や再発が起こりやすいという特徴があり,肝切除後では3年以内にその30%から50%が再発し,5年後では70%から〜80%も再発しています

治療方法は手術の他に,ラジオ波焼灼法,マイクロ波焼灼法,エタノール注入療法,肝動脈塞栓法,肝動注療法,放射線治療,肝臓移植など,肝臓がん特有の治療法があります。

肝がんの治療は近年確実に進歩しています。5年生存率では,1978〜1985年には9.5%だったものが,1996年〜2005年には39.3%まで上昇しています。

さらに新しい抗がん剤である分子標的薬ソラフェニブ(ネクサバール)の開発により,生存率はさらに向上すると期待されています。
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肝臓の構造

   
肝障害度とがんの進行度による治療法
 肝癌診療ガイドライン2005年版より 

このアルゴリズムはあくまでもマニュアルであり,すべての患者に適応できるわけではなく,例外も多数あります。

治療法の選択は,上記の表からもわかるように,がんの進行度だけでなく,肝障害度も考慮されています。多くの肝臓がんは肝硬変などを伴い,肝機能も低下していることが多いためです。

肝臓以外にがん転移がなく,腫瘍の大きさ3cm以下,数が3個以下の場合には,外科手術による肝切除もしくは ラジオ波治療が選択されます。

腫瘍数が3個以下でも,大きさが3cmを超える場合は,肝切除または肝動脈塞栓法を行います。

腫瘍数が4個以上のときは,基本的に肝動脈塞栓法肝動注療法が選択されます。ただし,外科手術での切除が可能である場合には切除する場合もあります。

肝臓の機能のほとんどが失われ,手術も不能な場合,肝臓移植も選択肢となります。その実施できる基準は,ミラノ基準と呼ばれ,遠隔転移や血管侵襲がなく,肝臓がんの個数が1個以下なら5cm以下,3個までなら腫瘍の大きさが3cm以下であることが条件となります。

ただし,必ずしもこれに合致していなければ実施されないというわけではありません。

   
      
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肝臓がんの抗がん剤治療



肝動注による抗がん剤治療


これまで,このがんは抗がん剤が効きにくいがんといわれていました。そこで肝臓内の動脈に直接薬を注入する肝動注化学療法が考案されました。

肝動注化学療法とははカテーテルをもものつけ根から挿入し,肝動脈から抗がん剤を注入するという方法です。

この方法ですと,肝臓の腫瘍に薬剤を効率よく集中できるため,副作用が軽減できると考えられ,日本を中心におこなわれています。

この場合使用される抗がん剤として「シスプラチン単独」「フルオロウラシル(5FU)+シスプラチン」などがあります。

この肝動注化学療法は,完全にがんが消失した例や長期間の生存データの報告はあるものの,大規模な臨床試験が行われていないため,延命効果がはっきりと証明されたわけではなく,世界的にはコンセンサスは得られていません。

この治療法ではシスプラチンを使用した場合,副作用として,悪心,吐き気,食欲不振,倦怠感,骨髄抑制,肝機能障害などがみられます。

また,フルオロウラシルを使用した場合,骨髄抑制や食欲不振,吐き気・嘔吐,下痢などの消化器症状が起こりやすく,注意が必要です。




分子標的薬


抗がん剤治療では,これまで効果的なものがありませんでしたが,2005年から腎臓がんで使用されているソラフェニブ(ネクサバール)が肝臓がんに対する延命効果が認められ,2009年承認されました。

ソラフェニブは肝臓がんのがん細胞の増殖を抑える作用があるだけでなく,がん細胞の血管新生を阻害するという作用も,あります。

ソラフェニブを投与した患者の32.4%にSD(安定)という結果がでたというデータがあります。

 
このソラフェ二ブの特徴として,腫瘍を小さくする作用は弱くても,腫瘍を大きくさせないようにして,延命効果が高いというという特徴があります。

脂肪分の多い食事をとると効果が落ちることがあるので,脂肪の多い食事をする場合,食前の1時間と食後2時間の服用を避けるようにします。
 

ソラフェニブのおもな副作用としては,半分以上の人にみられるのが,手の平や足の裏に皮疹や紅斑があらわれ,痛みをともなうこともある手足症候群など皮膚症状です。

また,下痢や吐き気など消化器症状,高血圧,肝機能障害などがみられます。

B型肝炎ウイルスのキャリアでは,抗がん剤治療と並行して,エンテカビルやラミブジンのような抗ウイルス薬による治療を併用します。

現在,切除や局所療法のあとの補助としてソラフェニブの投与の臨床試験が実施されています。

さらに,動注化学療法とソラフェ二ブによる全身抗がん剤治療の臨床比較試験がおこなわれ,その結果により,両者の位置づけが明確になるでしょう。


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