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ダウノルルビシン・抗がん剤の概要
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分類- 抗がん性抗生物質 |
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ダウノルビシンはアントラサイクリン系に属する抗がん剤であり,同系の薬剤であるドキソルビシンとは,1つのOH基がないだけで共通の構造を持ちます。
ダウノルビシンは,0H基がないことにより,ドキソルビシンより脂溶性があるという違いはあるものの,薬剤の代謝や毒性による副作用などはだいたい共通しています。
ダウノルビシンを始めとするアントラサイクリン系のメカニズムは複雑でまだよく分かっていないこともあります。
現在では,酵素DNAトポイソメラーゼⅡの作用を阻害することで,DNA合成やRNA合成を抑制し,その結果,がん細胞がアポトーシス(細胞自死)すると考えられています。
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治療対象となるがんの種類
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急性白血病,慢性白血病の急性転化
小児の悪性リンパ腫(保険適応外)
ドキソルビシンは多くのがん種の治療に使用されますが,ダウノルビシンの使用主に急性白血病に使用されます。
急性白血病に対しては, 1980年代の無作為比較試験でダウノルビシンの方がドキソルビシンの成績を上回ったため,以降,ダウノルビシンが主流です。
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投与法
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赤い粉末状またの注射剤で,生理食塩水と混合して,通常は静脈内に注射か点滴で投与します。
ダウノルビシン+シタラビンは,急性骨髄性白血病における寛解導入療法として使用されます。
急性骨髄性白血病に使用されるアントラサイクリン系薬剤には,イダルビシンもあります。
ダウノルビシンを用いる場合,50mg/㎡×5日間の投与量が望ましいとされています。
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ダウノルビシンの主な副作用
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骨髄抑制は,ほぼ全員にあらわれ,急性白血病の抗がん剤治療では,好中球減少が著しく,発熱性好中球減少症がよくみられます。
それにともなって感染症や貧血,出血などが起こりやすいため,注意が必要です。
アントラサイクリン系の抗がん剤治療に共通する副作用は心毒性であり,ダウノルビシンも例外ではありません。
心毒性には急性と慢性があり,急性心毒性は,投与後数時間から数日以内に不整脈などが起こりますが,多くは一過性です。
重大な副作用が,投与量が増加すると発症する慢性心毒性であり,拡張型心筋症の状態となり,心収縮能低下からうっ血性心不全に至り,心不全になり死亡する場合もあります。
その他の副作用として,吐き気・嘔吐,口内炎,脱毛,頭痛や全身倦怠感,発熱,悪寒,発疹などがあります。
また,まれですが,ショックやネフローゼ症候群が起こることもあります。
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使用上の注意 |
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ダウノルビシンに限らずアントラサイクリン系の抗がん剤は,血管外漏出により皮膚の炎症や潰瘍を起こしやすいので,点滴中はできるだけ,安静をこころがけてください。
心臓の機能に異常があったり,その既往歴のある人は副作用として,深刻な心障害を引き起こすリスクがあるので,使用はできません。
また,他のアントラサイクリン系など,心障害を起こすリスクのある薬剤で抗がん剤治療をおこない,投与量が限度にまで達している人も使用できません。
骨髄抑制による感染症予防のため,手洗い,うがいや歯磨きなどで,体を清潔に保つことが大切です。
薬剤が排泄されて,投与数時間後に尿が赤くなることがありますが,特に,心配はいりません。
動物実験で胎児への毒性が報告されているため,妊娠中または妊娠の可能性がある人は医師に相談し,授乳は中止してください。
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