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腹腔内・胸腔内投与法 |
腹部や胸部の体腔内に直接,抗がん剤を投与する方法です。
がんが腹膜転移を起こし,炎症を起こした結果,胸水や腹水によって体腔内に水分貯留が生じ,胸
膜癌腫症あるいは腹膜癌腫症と呼ばれる状態なった場合,このような投与法が実施されます。
抗がん剤を静脈内に点滴投与するのではなく,胸膜腔や腹腔内へ直接投与することで,局所での抗がん剤の濃度を十分に高くすることができ,より効率的にがん細胞を攻撃できると考えられます。
具体的には,抗がん剤を混入させた1リットルほどの生理食塩水を腹腔に注入し,一定の時間後に排出するというものです。
卵巣がんなどでは近年,腹腔内投与の有用性が複数の臨床試験によって確認されています。
胸腔内投与も同様で,胸膜炎を起こして胸水がたまっているときも,胸腔内に抗がん剤を投与することで症状が緩和されます。
ただし,局所に投与できる抗がん剤は限定されます。
たとえば肺がんによる胸水であればシスプラチンやカルボプラチン,胃がんによるがん性腹水に対してはパクリタキセル,卵巣がんによる腹水ではカルボプラチンなどが使用され,一定の成果を上げています。
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