|
|
|
|
|
|
ネダプラチン・抗がん剤の概要
|
|
|
分類- プラチナ製剤 |
|
|
|
|
|
抗がん剤ネダプラチンは,プラチナ誘導体であるシスプラチンより優れた抗腫瘍効果と腎毒性の軽減を目指してつくられた薬剤です。
この薬剤は日本の製薬企業(塩野義製薬)により,1980年代に開発された,国内初のプラチナ製剤です。
シスプラチンと比較して悪心・嘔吐,腎臓障害などは軽減されていますが,血小板減少を中心とする血液毒性が強いことが特徴です。
シスプラチンと同様に,がん細胞のDNAに架橋形成をおこない,DNA合成を阻害することで,がん細胞を死滅させます。 |
|
シスプラチンで問題となる腎障害を軽減させた薬剤ではあるものの,現時点ではいずれのがん種においても,標準的な治療の薬剤としては確立していません。
国内では進行再発例の子宮頚がんに対して第Ⅰ・Ⅱ相試験が報告されており奏効率は59%でした。
また,食道がんにおいて5-FUを併用した第Ⅱ相試験が行われましたが,標準治療である5-FUとシスプラチンの併用療法に比べ有望と思われる結果は得られませんでした。
|
|
治療対象となるがんの種類
|
|
|
シスプラチンで問題となる腎障害を軽減させた薬剤ではあるものの,現時点ではいずれのがん種においても,標準的な治療には組み込まれておらず,臨床的な位置づけは十分確立していません。
国内では進行再発例の子宮頸がんに対して第Ⅰ・Ⅱ相試験が報告されており奏効率は59%でした。
また,食道がんにおいて5-FUとの併用による第Ⅱ相試験が行われましたが,標準治療である5-FUとシスプラチンの併用療法に比べ,優れているとされる結果は得られていません.
頭頸部がん,肺小細胞がん,非小細胞肺がん,食道がん,膀胱がん,精巣腫瘍,卵巣がん,子宮頸がんなど
|
|
投与法
|
|
注射剤で,生理食塩液または,5%キシリトール注射液に溶かして使用します。
成人では通常,1日1回体表面積に合わせた量を静脈に点滴します。
抗がん剤治療後約4週間は休薬をします。
また,腎毒性に関しては,シスプラチンよりも少ないとされていますが,本薬剤投与に引き続き1,000mL以上の輸液が必要です。
ネダプラチンの催吐リスクは,リノテカンともに中等度リスクに分類され,このため2日目,3日目の ステロイド投与が必要となります。
本薬剤は光によって分解しやすいので,点滴全体を遮光する必要があります。
|
|
ネダプラチンの主な副作用
|
|
|
副作用は,骨髄抑制が中心であり,白血球減少は約7割,血小板減少も6割に及びます。
特に重篤な血小板減少の出現頻度は,約3割に及んでおり,紫斑,内出血,歯磨きによる出血,鼻血などが出やすくなります。
重症になることは少ないようですが,腎不全などの腎機能障害が起こることもあります。
吐き気や嘔吐,食欲不振があらわれやすいのも特徴ですが,シスプラチンよりも軽いとされています。
重篤な副作用としては,間質性肺炎やアナフィラキシー症状,難聴などがあります。
その他の副作用として頻脈,不整脈,心筋障害,けいれんや頭痛,めまい,手足のしびれ,耳鳴り,聴力低下がみられる他,抗利尿ホルモンが過剰分泌されることによる意識障害があらわれることがあります。
|
|
使用上の注意 |
|
|
抗がん剤治療中の尿量減少や体重増加などを認めた場合には,利尿薬の投与や補液が必要になる場合があります.
また,腎臓障害を軽減するため,水分を十分に補給して尿量を増やすことも重要です。
骨髄抑制の発現時期はおおむね12~22日と報告されています。
また,白血球減少時に倦怠感を自覚することがあります。
この時期に出現する突発的な発熱は,発熱性好中球減少症の可能性が十分に考えられますので,すぐに報告してください。
また,歯磨きの出血や鼻血が出る場合なども血小板の減少が疑われるため注意が必要です。
イリノテカンと併用する場合には,イリノテカンの副作用である下痢に対する対処も必要です。
一方,便秘の場合には, イリノテカンの活性代謝物SN38の腸管内停滞が起こり腸管粘膜障害を来すため,日ごろの排便コントロールも重要です。
また,アミノグリコシド系抗生物質やバンコマイシンは腎臓に悪影響を及ぼし,腎臓障害が増強する可能性があります。
妊婦または妊娠している可能性のある人は使用できません。授乳は中止してください。
|
|
|
|
|