抗がん剤の支持療法

    抗がん剤の支持療法で副作用の軽減

   
       抗がん剤の支持療法          

抗がん剤治療と副作用のすべて

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支持療法とは 

 
 

   
抗がん剤治療には様々な副作用があり,多くの患者はその副作用に悩まされています。このような,症状を軽減するための,予防策や治療を支持療法といいます。

近年,抗がん剤の研究もすすみ,薬剤の副作用も以前に比較すると,かなり抑えられるようになってきています。

抗がん剤の副作用を抑える方法は,大きく2種類に分けることができます。 一つ目は,薬の投与法の工夫によるもので,2つめは個々の副作用の症状を薬剤などで,対症療法的に抑えようとするものです。



抗がん剤の投与方法の工夫



一つ目の方法には,薬剤の組み合わせや投与スケジュールなどを調整することで,抗がん剤の効果を維持したまま,薬剤の投与量を減量するという方法があります。

現在,化学療法においては,何種類かの薬剤を併用して投与する多剤併用法が主流です。

このようにいくつかの種類の薬剤を組み合わせることで,1種類の薬剤を投与するよりも,個々の投与量を減量することができ,副作用も全体としては少なくなります。

この他にも,副作用を軽減する投与法があります。


クロノテラピー(時間治療)は副作用を軽減



抗がん投与法でクロノセラピー(時間治療)という治療法があります。最近,注目されてきた治療法ですが,海外では,フランスをはじめとした欧米で,1989年以降,その効果が臨床試験によって明らかにされています。

クロノセラピーは,簡単に説明すると,同じ抗がん剤を投与しても,効果が大きく,副作用が少ない時間帯と,逆に効果が小さく,副作用が大きい時間帯とがあり,投与時間を工夫することで,効果をあげ,副作用を抑えようという治療法です。

この治療の理論的な根拠は,「がん細胞の細胞分裂や増殖のリズムは一定ではなく,真夜中,寝ているときは活発で,昼間は低下する。この時間差を考慮し,夜間に投与すれば,正常細胞への毒性を抑えながら,がん細胞により大きなダメージを与えることができる。」というものです。

日本でも,大腸がんに対する実際の臨床試験で,大腸がんに対するフルオロウラシルの投与では夜間におこなったほうが,治療効果も大きく,副作用も少ないという結果がでています。

このように,すぐれた投与方法であるにもかかわらず,あまり普及していないのは,投与時間が夜間なので,医療スタッフのサポート体制が十分に整わないという実務的理由が大きいようです。

また,ある調査によれば,クロノテラピーを実施している医師は大学病院でも20人に1人程度であり,約3割はこの治療法を知らない医師もいると報告されています。

実施を希望される方は,事前に病院や医療スタッフに,実施が可能か聞かれるとよいでしょう。



抗がん剤のはたらきを増強し,副作用を抑える生化学的調節法(BCM)

   

化学療法では,抗がん剤の効果を高め,副作用を低減させるために,別の薬剤を投与する場合があり,「生化学的調節法」(BCM)(biochemical modulation)と呼ばれています。

この方法では 抗がん剤を投与する際に,その抗がん剤の性質や作用などを変化させる他の薬剤を,同時かその前後に投与します。これにより,抗がん剤の作用は増強されたり,副作用が軽減されたりします。

このような治療法として,フルオロウラシルとロイコボリンの併用療法があります。ロイコボリンは抗がん剤ではありませんが,併用して投与することにより,フルオロウラシルの治療効果を高めることが可能です。

このフルオロウラシルとロイコボリンを併用する「5−FU/LV療法」は現在,進行・再発大腸がんの標準的治療として確立されています。

また,このロイコボリンは白血病などの治療薬であるメトトレキサートの毒性を軽減させる効果のある薬剤でもあり,この薬の使用によって,副作用を軽減し,メトトレキサートを増量できるため,効果をあげることができます。

さらにこの薬剤は結腸・直腸がんに対するテガフール・ウラシルの抗腫瘍効果の増強にも用いられます。



また,日本で開発された,「5−FU」は胃がんや大腸がんなど消化器がんに有効な画期的な抗がん剤です。

この薬剤も,生化学的調整法の理論を応用したものです。 内服薬として使用されるこの薬剤には以下の3種類の薬が,ある比率で配合されています。
ています。

@テガフール:1 Aギメラシルー:0.4 Bオテラシルカリウム:1

この中で,テガフールは体内でフルオロウラシルに変わる物質で,ギメラシルはフルオロウラシル
の分解を妨げる物質,そしてオテラシルカリウムはフルオロウラシルが消化器に与える毒性を低下させる物質です。

この薬剤では,体内でのフルオロウラシルの分解がギラメシルによって抑制され,抗がん効果が高まります。

それと共に副作用を引き起こすフルオロウラシルの有害物質への代謝がオテラシルカリウムによって抑制されるため,下痢などの副作用も小さくなるのです。

現在では,TS‐Iは,進行性の胃がんに対してこれまでにないすぐれた効果を示すことが確認されその第一選択の薬剤として広く使用されています。

       
       
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新しい薬剤による抗がん剤副作用の支持療法




多くの抗がん剤に起こる吐き気と嘔吐は制吐剤で対応


抗がん剤による吐き気や嘔吐への刺激は体内の神経伝達物質によって神経中枢が刺激されることで起こります。

抗がん剤の制吐剤はこれらの物質の伝達を阻害し,嘔吐・吐き気を抑制します。このような制吐剤
として,セロトニン(5−HT3)受容体拮抗薬やニューロイキン(NK1)受容体拮抗薬があります。

また,ステロイド剤のデキサメタゾンも制吐剤として使用されています。

嘔吐・吐き気のグレードに応じてこれらの薬剤が組み合わされて処方されています。

2009年ニューロイキン(NK1)受容体拮抗薬アプレピタントが,2010年にはセロトニン(5−HT3)受容体拮抗薬パロノセトロンが認可されました。

これらの,制吐剤は急性だけでなく,これまで治療が困難であった遅発性嘔吐共にも効果があり,次世代の制吐剤といわれています。



白血球減少による感染症予防にはG−CSF製剤を投与

   
骨髄は細胞分裂が活発なので,特に,抗がん剤のダメージを強く受けます。

従来型の抗がん剤のほとんどは,分裂のさかんな骨髄の白血球,赤血球,血小板などが減少し,感染症にかかりやすくなる,出血が止まらなくなる,貧血が起こるなどの副作用があらわれます。

白血球の減少には2008年,G-CSF製剤(顆粒球コロニー刺激因子)が承認され,その副作用が著しく軽減されています。

このG-CSF製剤は遺伝子組換え技術によって生産されるタンパク質製剤で,白血球の中の顆粒球を選択的に増加させ,その機能を更に高める機能をもっています

副作用による顆粒球減少のために,次の投与まで3週間あけなければならなかったものが2週間ですむようになりました。
 
  

2013年には,(株)協和発酵キリンによる,作用時間が長くなる改良型のG−CSF製剤の承認申請が行われています。

血小板の減少に対しては,血小板輸血が行われます。最近,欧米では血小板の増殖を促す薬剤が使用され,日本でも承認される可能性があります。



これまで治療が困難であった末梢神経障害の治療薬が登場

   

抗がん剤の副作用によるしびれ症状などの神経障害はいったん発現すると有効な治療法が確立されておらず,長期にわたることもあります。

治療薬としては,しびれ症状の緩和のためにビタミンB6,B12製剤などをしたり,疼痛に対しては非ステロイド性抗炎症剤や副腎皮質ホルモン剤が使われることがあります。

さらに,激痛に対してはオピオイド(麻薬性鎮痛剤)が必要になります。抗うつ薬や抗てんかん薬が試されることもあります。

2013年,承認されたプレガバリン(リリカ)は,末梢性神経障害性疼痛薬として期待されています。

神経痛は神経細胞にカルシウムイオンがはたらき,痛みの伝達物質が過剰に放出されることにより起こります。

プレガバリンは神経細胞のカルシウムイオン結合部位に結合し,カルシウムイオンの結合を抑制することで,,痛みの伝達物質の放出を低下させ鎮痛効果を発揮します。
 


       
 
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