膵臓がん

   
       膵臓がんの抗がん剤治療        

抗がん剤と副作用のすべて

膵臓がんの抗がん剤や副作用,放射線による治療を詳しく解説

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膵臓がんの治療 

 
 
   
膵臓がんは,治療が困難で,生存率も低いことが特徴です。

日本では年間1に万8000人が膵臓に罹患し,死亡者は年間1万9000人以上になります。

全国膵癌登録調査報告(1999年度)では,膵臓がんで切除可能であった症例は全症例の39%で,そのなかでも,5年生存率は13%という厳しいものでした。

このがんは特有の症状がでにくいため,早期発見が遅れがちとなり,発見時には手術不能なケースが多いという実態があます。

また,早期から周囲に浸潤,転移しやすいという特徴があり,また,放射線療法においても,膵臓は多くの臓器に囲まれているため,治療は困難さをともないます。

しかし,近年手術法の改善,重粒子線治療や分子標的薬などの抗がん剤の進歩により,成績の向上がみられるようになってきています。

         
 
 
     
 

病期(ステージ)分類

 病期  進行度
I期 膵臓内部に2cm以下の腫瘍があるが,リンパ節転移はない。
II期 腫瘍が膵臓内部に止まっているが,腫瘍の大きさが2cm以上か,隣接するリンパ節に転移がある。
III期 腫瘍が膵臓の外に少し出ているが,隣接するリンパ節に止まっている。あるいは腫瘍が膵臓内に止まっているが,少し離れたリンパ節に転移がある。
IV期 腫瘍が膵臓周囲の臓器や,重要な血管に広がっている。
遠隔臓器に転移がある。
   

膵頭十二指腸切除術


このがんは,約60%が膵頭部に発症します。

膵頭部のがんでは,膵臓頭部,胃や十二指腸の一部,総胆管,胆嚢,リンパ節を一緒に切除する膵頭十二指腸切除術が一般的な方法です。

最近では胃の出口にあたる幽門輪を残して,術後のQOLの低下を防ぐ方法も実施されています。
 

この手術法では,切除する範囲が広いだけでなく,切除後に膵臓,胆管,胃を小腸と縫い合わせ,食物,膵液,胆汁が流れるように再建する必要があり,長時間にわたる高度な技術が要求されます。


膵体尾部切除術


腫瘍が膵体部や膵尾部にあるときには,膵頭部を残して切除する方法が一般的です。膵頭部側を残して膵臓と脾臓を共に切除します。

また膵臓すべてを取り出す手術はインスリンの分泌がなくなり,糖尿病になったり,消化酵素が分泌されなくなるため,近年では,あまり実施されてはいません。


       
      
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膵臓がんの粒子線による化学放射線療法


このがんは放射線に対する感受性が低いだけでなく,膵臓の周りを胃,十二指腸,小腸,大腸,肝臓,腎臓など重要な臓器が囲んでいるため,放射線はこれまであまり有効ではありませんでた。

しかし,重粒子線が膵臓がんに成果をあげています。

この重粒子線の特徴は粒子が運動を停止する時に,臓器の内部で,最大のエネルギーを放出するという性質を利用しているため,複数の臓器に囲まれている膵臓がんには適しています。

そこで,さらに抗がん剤とこの粒子線を併用した,化学放射線療法が有効ではないかと考えられ,現在,臨床試験がすすめられています。

化学放射線療法は,切除不能なW期Aのがん患者が対象です。抗がん剤はゲムシタビン(ジェムザール)を使用します。

この治療を受けるには以下の条件をクリアする必要があります。

肝臓や腹膜などに転移がないこと

過去に膵臓がんの治療を受けていないこと

介助なく身の回りのことができること

80歳以下であること

現在,粒子線を受けられる施設も限られ,保険適応にもならないことからまだ普及していません。



膵臓がんの抗がん剤投与


I期,U期,V期の患者には、手術後の補助化学療法として抗がん剤が使われます。

また,W期の患者や再発した患者では,標準的な治療法として抗がん剤が使用されます。

現在,日本で膵臓がんに対して承認されている抗がん剤は,ゲムシタビン(ジェムザール),TS−1,エルロチニブ(タルセバ)の3つです。

ゲムシタビンは2001年に承認された抗がん剤で,DNA合成に必要な酵素の機能を阻害し,がん細胞の増殖を抑制するという作用があります。

このゲムシタビンのメリットは,痛みの緩和作用があるということで,これにより食欲などを回復できる患者もいます。

TS−1は,5−FU(フルオロウラシル)をベースに日本で開発され,2006年に承認された経口抗がん剤です。

TS−1は,5−FU(フルオロウラシル)に体内で変化するテガフール,5−FUが体内で分解されるのを防ぐギメラシル,5FUによって起こる副作用を軽減するオテラシルカリウムの3種類が配合され,それらが相乗効果を生み,腫瘍縮小効果はゲムシタビンより大きいといわれています。



ゲムシタビンに分子標的薬のエルロチニブ(タルセバ)を併用する方法では,ゲムシタビンの単独よりも生存期間が長いとされ,初回選択肢の一つとなっています。

ただし,この併用療法は薬代が高いうえに,副作用として,間質性肺炎や,にきび様湿疹などの皮膚毒性もみられることから,患者の体調などをよく見極めてから使用する必要があります。



ゲムシタビン単独療法とTS−1単独療法の有効性は,ほぼ同じで,標準治療としてどちらを第一選択としてもよいことになっています。

ゲムシタビンは副作用として,白血球減少,血小板減少などの骨髄抑制が起こりやすく,一方,TS−1は吐き気・嘔吐,下痢などの消化器症状が起こりやすいという特徴があります。



膵肝同時動注療法


膵臓がんでは手術が可能であっても,切除後約70%の患者が再発するといわれます。

特に,進行性の場合,70%以上に肝転移がおこり,肝不全や肝臓の血管内の血液凝固がおき,それにより死亡するケースもみらます。

肝転移のつぎに,がん性腹膜炎と肺転移がおこり,がん性腹膜炎では消化管閉塞や,細菌感染が全身に広がる敗血症がおきて亡くなります。

肝転移とがん性腹膜炎で,死因の90%を占めるといわれます。

このようなことから,膵臓だけでなく,転移が予想される肝臓にも,同時に抗がん剤を流し込むことで,上記のような転移を抑制しようと考案された治療法が膵肝同時動注療法です。

この治療法は,膵臓と肝臓の中心的な動脈に,カテーテルで高濃度のゲムシタビンとシスプラチンを送りこみながら,放射線を照射するというものです。

膵肝同時動注療法のメリットは,抗がん剤を高濃度で,膵臓と肝臓に投与できることが可能なだけでなく,肝臓で薬剤が代謝されるため,副作用が軽減されるということです。

さらに,その効果は化学放射線療法や全身化学療法にくらべて,はるかに大きいということがわかりました。

しかし,この方法は,まだ普及はしておらず,ごく一部の施設でしか実施されてはいません。


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