代謝拮抗剤の特徴と副作用

 代謝拮抗剤の特徴と副作用の一覧

   
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代謝拮抗剤とは

   

代謝拮抗剤は
DNAやRNAの合成に必要な材料の類似物質として,取り込まれ,がん細胞の複製を阻止し,がん細胞を破壊します。細胞障害性型抗がん剤の中では,副作用は比較的軽いといわれていますが,より長時間体内に存在した方が,大きな治療効果を示す薬剤です。


代謝拮抗剤開発の経緯

   

1947年,米国の病理学者研究チームが,ビタミンBの一種でDNAの合成に必要な葉酸の類似物質アミノプテリンを急性リンパ性白血病患者に投与することで,病状の進行を寛解させることに世界で初めて成功しました。この物質から現在でも使用されている抗がん剤メトトレキサートが開発されています。

1948年,同じ米国の生化学者ジョージ・ヒッチングスとガートルード・エリオンは代謝措抗剤の一種ジアミノプリンを開発し,これをさらに改良し,現在でも広く使用されているメルカプトプリンを開発しました。

現在では,ではゲムシタビンやカペシタビンなど,これまで抗がん剤が効きにくいとされてきたがんにも治療効果を発揮する薬剤が開発されています。


 

作用のメカニズム 

   

代謝措抗剤の多くは,DNAやRNAの合成に必要な類似物質です。これらの物質が,本物と入れ替わりDNAやRNAの材料として取り込まれることで,DNA合成を阻害したり,不完全なDNAを合成してしまうことによってがん細胞は死滅してしまいます。

また,一部の薬剤は,DNAの材料になり代わった類似物質が,さらにDNA合成に必要な酵素のはたらきを阻害するため,相乗効果を上げることができます。

このように,細胞の活動(代謝)のはたらきを,本物の物質と張り合い譲らない(拮抗)薬剤が,代謝措抗剤なのです。


 

特徴 

   

代謝措抗剤は,アルキル化剤などとは異なり,がん細胞が細胞分裂を行い,DNAを合成している時にのみ効果を発揮する抗がん剤です。

がん細胞には,細胞分裂が行われていないときや,分裂の準備段階,DNAの合成が終わった期間もありますが,このような時間帯には,代謝措抗剤はあまり効果をあげることができません。

そのため,代謝措抗剤が抗がん剤としての治療効果を発揮するには,より長時間体内に存在する必要があるといわれています。その間により多くのがん細胞がDNAを合成する期間に入って損傷を受ける可能性が高くなるからです。

また,最近では,体内で活性化して薬へと変化するプロドラッグも開発されています。プロドラッグは長時間体内にとどまるため,より高い効果を期待できます。


 

投与方法 

   

代謝措抗剤は,体内にとどまる時間が長いほど効果的にはたらくと考えられています。

そのため,数時間にわたって点滴を行う「連続投与」や,経口剤を毎日続けて飲む「経口投与」が一般的ですが,皮膚がん,外陰がんなどに対しては軟膏も使用します。
 
代謝措抗剤は,他の薬と組み合わせて使用すると,治療効果が増強する場合があります。

たとえば,フルオロウラシルを点滴した後,メトトレキサートを投与すると,フルオロウラシルがより効率的にはたらき,また,フルオロウラシルとウラシルを併用すると,フルオロウラシルが途中で分解されにくくなります。

プラチナ製剤も,代謝措抗剤の効果を高めるはたらきがあると考えられ,最近では胃がんや大腸がんなど消化器系のガンに対して,フルオロウラシルとプラチナ製剤のシスプラチンの組み合わせが試されています。



 

代謝拮抗剤の副作用 

   

代謝拮抗剤の副作用は細胞障害性型抗がん剤の中では比較的副作用は軽いといわれています。

また,アルキル化剤などと異なり,DNAを損傷させることがないため,二次発がんなどの発生は低いとされています。

代謝措抗剤に比較的多い副作用としては,口内炎や脱毛,皮膚が刺激に対して過敏になるなども見られます。

時に,嘔吐,下痢などの消化器系の副作用が強く現れたり,骨髄抑制により,血球や血小板の数が少なくなることもあります。

メトトレキサートなどを大量化学療法で用いる場合には,腎障害や肝障害,肺炎なども起こる可能性があります。
 

 

代謝拮抗剤の適応できるがんの種類と副作用一覧 

   

抗がん剤名
商品名
適応できるがんの種類 副作用 投与方法
エノシタビン
サンラビン
急性白血病 骨髄抑制,吐き気,嘔吐,食欲不振,発熱,頭痛,倦怠感,脱毛,頻尿,肝障害,腎障害 点滴
塩酸ゲムシタビン
ジェムザール
非小細胞肺がん,膵臓がん 骨髄抑制,吐き気,嘔吐,肝障害,発熱,
(間質性肺炎)
点滴
カルモフール
ミフロール
胃がん,大腸がん,乳がん 白質脳症,頻尿,吐き気,嘔吐,下痢,出血性腸炎,骨髄抑制,間質性肺炎,肝機能障害 内服
シタラビン
キロサイド(N)
急性白血病,胃がん,胆のう・胆管がん,膵臓がん,肝がん,大腸がん,肺がん,乳がん,子宮がん,卵巣がん,膀胱がん 吐き気,嘔吐,腹痛,下痢,口内炎,結膜炎,頭痛,発疹,脱毛,血尿,膀胱刺激症状 静脈注射
シタラビンオクホスファート
スタラシド
急性骨髄性白血病,骨髄異形成症候群 骨髄抑制,間質性肺炎,血液障害,食欲不振,吐き気,嘔吐,発熱,頭痛,倦怠感,脱毛,肝障害 内服
テガフール
アチロン,アフトフール(N),イカルス,サンフラール,ステロジン,テフシール・C,フトラフール,フロフトランE,ルナシン
胃がん,大腸がん,乳がん,頭頚部がん,膀胱がん 下痢,口内炎,倦怠感,出血性腸炎,食欲不振,吐き気,嘔吐,肝障害,口内炎,発熱,関節痛,紅班,骨髄抑制 内服
静脈注射
座薬
テガフール・ウラシル
ユーエフティー
ユーエフティE
頭頚部がん,胃がん,大腸がん,肝臓がん,胆嚢・胆管がん,膵臓がん,肺がん,乳がん,膀胱がん,前立腺がん,子宮頚がん 下痢,口内炎,骨髄抑制,肝障害,脱水,腸炎,スティーブンジョンソン症候群 内服
テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム
ティーエスワン
胃がん,頭頚部がん 骨髄抑制,血液障害、食欲不振,色素沈着,吐き気,嘔吐,発疹,肝障害,消化管潰瘍・出血,スティーブンジョンソン症候群 内服
ドキシフルリジン
フルツロン
胃がん,大腸がん,乳がん,子宮頚がん,膀胱がん 骨髄抑制,下痢,脱水,腎障害,骨髄抑制,腸炎,肝障害 内服
ヒドロキシカルバミド
ハイドレア
慢性骨髄性白血病 骨髄抑制,発疹,吐き気,嘔吐,肝傷害,間質性肺炎 内服
フルオロウラシル
カルゾナール,
5-FU,
ベントン
ルナコールロS,ルナポン
胃がん,大腸がん,乳がん,子宮頚がん,子宮体がん,肝臓かん,膵臓がん,卵巣がん,食道がん,肺がん,頭頚部がん,皮膚がん 食欲不振,吐き気,嘔吐,下痢,倦怠感,腸炎,口内炎,消化管潰瘍,骨髄抑制,間質性肺炎 内服
静脈注射軟膏
座薬
メトトレキサート
メソトレキセート
急性白血病,慢性リンパ性白血病,慢性骨髄性白血病,絨毛性疾患,肉腫,悪性リンパ腫,胃がん,乳がん 吐き気,嘔吐,下痢,脱毛,口内炎,骨髄抑制,肝障害,アナフィラキシー様反応,腎障害,間質性肺炎 内服静脈注射
メルカプトプリン
ロイケリン
急性白血病
慢性骨髄性白血病
吐き気,嘔吐,血液障害,肝障害,腎障害,吐き気,嘔吐,潰瘍性口内炎 内服
リン酸フルダラビン
フルダラ
慢性リンパ性白血病 発熱,悪心,嘔吐,脱力感,骨髄抑制,肝障害,腎障害,問質性肺炎,精神神経障害,消化管出血 静脈注射
カペシタビン
ゼローダ

 
乳がん  吐き気・嘔吐,下痢,手足症候群,骨髄抑制,心筋梗塞,心筋梗塞,不整脈,肝臓障害,腎臓障害,白質脳症 内服薬 
クラドリビン
ロイスタチン
 
ヘアリー細胞白血病,低悪性度非ホジキンリンパ腫,マントル細胞リンパ腫濾胞性B細胞性非ホジキンリンパ腫  骨髄抑制,吐き気・嘔吐,口内炎,発疹,下痢,体重減少,頭痛,めまい,肝臓障害 点滴 
ぺントスタチン
コホリン
 
成人T細胞白血病リンパ腫,ヘアリーセル白血病  吐き気・嘔吐,腹痛,食欲不振,倦怠感,発熱,骨髄抑制  静脈 
ペメトレキセド
アリムタ
 
悪性胸膜中皮腫
切除不能進行・再発の非小細胞肺がん
 
骨髄抑制,間質性肺炎,下痢,腎不全,アナフィラキシー様症状,感染症 点滴 
ネララビン
アラノンジー
 
T細胞性急性リンパ芽球性白血病(T-ALL)
T細胞性リンパ芽球性リンパ腫(T-LBL)
 
骨髄抑制,傾眠,痙攣な,しびれ感,錯感覚,末梢性ニューロパシー,上行性末梢性ニューロパシー,脱髄,倦怠感
点滴 



     
  
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