頭頸部がん

   
 頭頸部がんの抗がん剤治療     
 

抗がん剤治療と副作用のすべて

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頭頸部がんとは 

 
     

頭頸部とは,顔からのどまでの部位を意味しています。

頭頸部がんとは,頸部および口腔内にできるがんのことで,咽頭がん,喉頭がん,口腔がん,舌がんなどがあります。 また,脳腫瘍は頭頸部がんにはふくまれません。

頭頸部には,視覚,聴覚,味覚などの感覚器官や発声,咀嚼,嚥下などの重要な組織があり,これらが失われるということは,日常生活のQOLの大きな低下をもたらします。

頭頸部がんの治療においては,これらの機能をいかに残すかということが大切であり,また,機能が損なわれないようにするということは,治療を難しくしている面でもあります。

手術により,発声が失われる,ものがうまく食べられなくなる,顔が変形するなどが生じると,患者にとっての肉体面だけでなく,精神面での苦痛はたいへん大きなものがあります。

このようなことから,最近では,手術で欠損した部分を再建する技術も進んできています。最近では,機能的な低下が少ない放射線治療が,頭頸部がんに対して,積極的に行われるようになりました。

抗がん剤は,これの手術や放射線療法を補うために使用されることが多く,術前化学療法や,化学放射線療法の一環として使用されています。

また,遠隔転移がある場合には,抗がん剤治療単独で実施されます。

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頭頸部がんの治療 

   

咽頭がんの治療


咽頭は消化管の一部で気道の一部にもなっていて,鼻腔や口腔の後方にあって,食道にもつながっています。

咽頭は,上部から,上咽頭,中咽頭,下咽頭
に分けることができます。

咽頭がんの多くは,放射線の感受性が高い扁平上皮がんなので,ほとんどの病期で放射線治療が選択され,抗がん剤は化学放射線療法として使用されるケースがほとんどです。

上咽頭は脳神経と近い位置にあるため,通常手術は行わず,放射線療法単独や抗がん剤と併用する化学放射線療法での治療となります。

中咽頭がんでも,一般的に放射線療法が選択されます。病状が進行していれば,化学放射線療法を選択し,治療後にがんが残っている可能性があれば,手術が可能かどうか検討されます。

咽頭がんでもっとも多いのは下咽頭がんです。

下咽頭がんの治療では,がんが喉頭に広がっていない状態で,がんの大きさが4cm以下なら,手術か化学放射線療法のどちらかが選択されます。

ただし,手術では,部分切除ができない場合には,嚥下機能を障害することにもなるため,化学放射線療法が第一選択肢にります。

しかし,化学放射線療法を受けて再発したときは,前回の放射線のダメージに組織が耐えることができないため,下咽頭と喉頭の全摘手術になるケースが多いといえます。

この手術では,がんが小さければ下咽頭の部分切除ですませ,声帯を残し,発声機能を温存することもできますが,大きく切除した場合,発声機能が失われます。


咽頭がんの抗がん剤治療


咽頭がんが進行していたり,他の臓器に転移していた場合には抗がん剤治療が選択されます。
咽頭がんの治療では,フルオロウラシル(5−FU),シスプラチン,ドセタキセル(夕キソテール)を併用して投与します。

また腎機能が低下している患者では,シスプラチンのかわりにカルボプラチン(パラプラチン)が使われます。

その他,にシスプラチン,TS−1,ドセタキセルを併用する方法も有効で,シスプラチンに
あわせて,ブレオマイシンやメトトレキサートが使用される場合もあります。



喉頭がんの治療


喉頭がんは頭頸部のがんの中では最も発症頻度は高いがんで,比較的早期に発見されることが多く,早期治療もしやすいがんといわれています。

喉頭がんは,声門がん,声門上がん,声門下がんの3種類に分けることができ,喉頭がんの中で最も発症率が高いのは声門がんです。

喉頭がんの治療は放射線治療と外科手術が中心で,早期がんに対しては,放射線療法やレーザー治療が行われます。

手術の場合,早期がんに対しては,は喉頭の部分切除,進行がんに対しては喉頭の全摘出を行います。

喉頭の全摘出をすると発声機能が失われるため,最近では進行がんに対してもできるだけ喉頭を温存するようになっています。

声門がんでは,1〜2期は放射線療法を行います。早期のがんに対してレーザーによる切除手術を行う治療も増えています。

ごく早期であればレーザーによって病巣を完全に切除することもできますが,レーザー治療後の声質が変わり,声が悪くなることが問題とされています。

早期がんでも放射線で効果が見られない場合は,喉頭の部分切除を行います。治療後は声のかすれがみられることもあります。

3期以降は,基本的に喉頭の全摘出となりますが,声が出せなくなるなどの問題もあるため,放射線化学併用療法を試みる施設も増えています。


声門上がんでは,早期は放射線で治療し,効果がみられない場合は,その喉頭を部分切除します。

3期以降は,喉頭を全摘出しますが,放射線療法でがんを縮小してから摘出する方法が取られ場合もあります。


声門下がんでは,初期である場合でも放射線療法が優先される事は少なく,手術による喉頭部分切除が行われるのが一般的です。

がんが前方に限局していれば,喉頭の部分切除を行いますが,発見時にはかなり進行している事が多くので,喉頭全切除を選択することもしばしばあります。

 

再発・進行した喉頭がんの抗がん剤治療


進行性の喉頭がんでは,手術で切除するか,化学放射線療法を行うかの選択となります。

進行した喉頭がんの抗がん剤治療では,一般にフルオロウラシル,シスプラチン,ドセタキセル の
3剤が使用されます。(DCF療法)

また化学放射線療法ではシスプラチンを投与と放射線の照射を行います。

プラチナ製剤のシスプラチンは副作用が強いので,カルボプラチンが使用されることもあります。

それでもがんが残ってしまった場合には,手術を検討することになりますが,放射線療法をした後に手術をすると,傷の治りが悪くなり,術後の合併症のリスクが高くなるというデメリットがあります。



口腔がんの治療


口の中の粘膜にもがんができます。頬の内側,唇の粘膜,口蓋(こうがい),歯肉,舌などから発生するがんを総称して口腔がんといいます。

囗腔がんのなかで最も発生頻度の高いがんが,舌がんであり,口腔がんの半数以上を占めています。

治療の基本は外科手術か放射線療法です。

抗がん剤は通常,手術後の補助療法や,遠隔転移した場合の治療に用いられます。


早期がんであれば、放射線療法単独か抗がん剤との併用療法,またはレーザー治療で,80%以上に完治が期待できます。

また,進行がんも含めた囗腔がん全体でも60%前後と比較的良好な成績をあげています。
 
口腔がんで使用される抗がん剤は,シスプラチンを中心とした多剤併用療法です。

咽頭がんや口頭がん同様にシスプラン,フルオロウラシル,ドセタキセル,カルボプラチンなどが使用されます。

また,舌がんに関しては,手術によるQOLの低下を避けるため,舌に直接放射性物質を埋め込んで,照射する方法があり,これを小線源治療と呼んでいます。

舌がんの第1期と第2期では,この小線源治療がおこなわれ,イリジウムやセシウムなどの放射性同位体で作った針や,その針を入れることのできる細いプラスチックのチューブをがん病巣のある舌に直接埋め込んで治療します。

5年生存率は,80%で,手術とかわらず,しかも,舌の切除によるQOLの低下がないことは大きなメリットといえるでしょう。



   
 

画期的な超選択的動注化学放射線療法 

   

日本大学医学部付属板橋病院耳鼻咽喉科教授の木田亮紀教授が開発した,頭頸部がんへの超選択的動注化学療法と放射線治療の併用療法は,治療効果も高く,しかも抗がん剤の副作用を抑えることを可能にした画期的なものです。

この治療法では頭頸部にできたがんに通じる動脈にカテーテルを挿入し,そのカテーテルに抗がん剤を注入してがん集中的に作用させます。

そして,抗がん剤を中和する薬剤を静脈に注射して,頭頸部の動脈から静脈に流れてきた抗がん剤の作用を減らすことで,全身への副作用を抑えること可能にしました。

この超選択的動注と放射線の併用療法は,進行した上顎洞がん,中咽頭がん舌がんなどに有効で,良好な治療成績を残しています。

ある病院の報告によれば,超選択的動注化学放射線療法を実施した,102例の進行舌がんの治療のなかで,90例(88・9%)にがんが完全に消失する,完全寛解がみられ,そのなかの86例が再発なかったとされています。



       
                   
  
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