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抗がん剤治療を長期間続けることによる障害はありますか?
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A |
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がん細胞はある一定期間抗がん剤投与されると,薬剤耐性を持つようになります。
すなわち,その抗がん剤が効かなくなってしまうことが多いのです。
したがって,長期間投与を続けて,効果がなくなれば,いくら投与しても副作用しかみられなくなり,治療のメリットはなくなります。
そこで,すぐに他の種類の抗がん剤に切り替える必要があります。
また,抗がん剤を長期間投与して,投与量がある一定量を超えると,治療が困難な障害を引き起こすことがあります。
特に治療後,数ヶ月~数年後にあらわれる障害を晩期性障害と呼び,難治性のものが多く,注意する必要があります。
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抗がん剤治療による晩発性障害 |
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2次発がん
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特に従来型の殺細胞剤は細胞のDNAを破壊するものなので,正常細胞のDNAを変異させ,がんを発生させてしまうこともあります。
発がん性がよく知られている抗がん剤としてシクロホスファミドなどアルキル化剤に分類される抗がん剤や,植物アルカロイドのエトポシドなどがあます。
2次的に発症するがんでよくみられるものが,急性骨髄性白血病(2次性白血病)であり,一般に総投与量が多いほどそのリスクが高くなるといわれています。
2次性白血病のリスクは治療開始2年ごろより増加し,5~10年でピークに達し,その後は減少に転じます。
発症リスクが高まる固形がんとしては,肺がんや乳がんの他,シクロホスファミドによる膀胱がんなどが知られています。
海外では,全身放射線療法と大量のシクロホスファミドを投与の後,移植をおこなった10年後に2次発がんを発症する確立は20パーセントに上ると報告されています。
また,国内では,厚生労働省の発表によると,白血病で入院した患者 約21200人のうち1.9%にあたる 405人が,がん治療後の後遺症と見られる二次性白血病であったと報告しています。
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神経毒性
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神経細胞に抗がん剤がダメージを与え,末梢神経障害などの神経症害をもたらすことを神経毒性と呼んでいます。
神経毒性を起こしやすい薬剤として植物アルカロイドのパクリタキセル,ドセタ,ビンクリスチン,プラチナ製剤のシスプラチンのオキサリプラチンなどが,この副作用の出やすい薬剤として知られています。
これらの薬剤が引き起こす神経毒性は,手足のしびれなどの末梢神経障害が中心で,総投与量が増えるにしたがってその頻度が増していきます。
現時点では神経毒性に対する有効な予防・治療の手立てがなく,日常生活に支障をきたすような場合には治療を中止せざるを得ない場合もあります。
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心毒性
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アドリアマイシン(ドキソルビシン)は心毒性を引き起こす薬剤としてもっともよく知られています。
総投与量一定量を超えると心臓のポンプ機能の異常や,不整脈の出現する頻度が増大します。
予防・治療法として確立したものはなく,症状が出現した時に対症療法を行なうしかありません。
医師は慎重に経過観察すると共に,心電図や心臓超音波による定期的な心機能モニタリングを行う必要があります。
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肺繊維性
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抗がん剤の副作用で,注意しなければならないものに,発熱,せき,進行性の呼吸困難をともなう間質性肺炎があります。
間質性肺炎は,肺の中のガス交換が行われる場所である間質に炎症が起こり,酸素の取り込みができなくなるという,非常に重い副作用です。
間質性肺炎になると,肺の組織が繊維化して固くなり,呼吸不全となる肺繊維症に移行する症例も少なくありません。
肺毒性は多くの薬剤の副作用として起こりますが,特にブレオマイシン,マイトマイシンC,ブスルファン,メトトレキサートなどは,肺毒性が起こりやすい薬剤として,知られています。
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漏出性皮膚障害
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長期にわたり抗がん剤治療を受けている人や,高齢者,肥満,浮腫がみられる場合などでは,末梢血管のルートが確保しにくく,抗がん剤が血管外に漏レ出すことがあります。
組織の障害の程度は薬剤の種類,血管外に漏れた量,部位などによりますが,ひどい場合には皮膚に難治性の潰瘍をつくり場合があります。
薬剤の投与中は,点滴部位の安静を保つようこころがけ,点滴部位に違和感を感じたらすぐに報告しましょう。
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性腺機能障害
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アルキル化剤などの抗がん剤は男性においては無精子症を,女性においては卵巣機能低下をもたらします。
無精子症がその後治癒できるかどうかは薬剤の種類,投与量,用法などによりますが,治療後に精子数が回復すれば,精子の運動能,受精能も回復することが多いようです。
女性の場合も薬剤の種類や投与量により卵巣機能が低下する期間は異なりますが,年齢が大きく影響し,閉経年齢に近いとより無月経となりやすくなります
閉経前女性ホルモン感受性のある乳がんにおいては,ホルモン療法または抗がん剤治療により無月経になった患者さんのほうが予後が良いことが知られています。
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