甲状腺がん

   
 甲状腺がんの抗がん剤治療     
 

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甲状腺がんの治療 

 
     

甲状腺とは


甲状腺は,のどぼとけの下にある内分泌器官です。蝶が羽を広げたような形をしており,上下の長さは4センチ程度で,右葉と左葉にわかれています。

甲状腺は,ホルモンにより人体の成長を促進させ,成人になると,全身の細胞の新陳代謝に関わる甲状腺ホルモンを分泌します。

甲状腺の背面にある4つの副甲状腺は,血液中のカリシウムの濃度を調節する副甲状腺ホルモンを分泌します。

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甲状腺がんとは


甲状腺がんには乳頭がん,濾胞がん,髄様がん,未分化がんの4種類があります。

このがんの特徴はがんの種類によって全く性質が異なるという点にあります。

乳頭がんは甲状腺がんの中で最も多く,甲状腺がんの約9割がこの種類のがんです。
40歳〜50歳代の女性に多く,きわめて進行が遅いという特徴があります。
また,高齢で発症するほど悪性度が高くなりやすいといわれています。


濾胞がん甲状腺がんの5%をしめています。乳頭がんより,やや高齢者に多い傾向があり,転移しやすい性質があります。

治療後の経過は比較的よいものの,転移した場合の予後はあまりよくないといわれています。


髄様がんは,傍濾胞細胞と呼ばれるホルモンを分泌する細胞が,がん化したものであり,甲状腺がんの約1〜2%をしめています。

乳頭がんや濾胞がんよりも症状の進行が速く,リンパ節や,肺や肝臓への転移を起こしやすいという特徴があります。また,約2〜3割は遺伝性といわれています。


未分化がんは,甲状腺がんの約1〜2%に見られるがんであり,最も悪性度が高いがんです。進行が速く,周囲の臓器への浸潤や遠くの臓器への転移を起こしやすいがんです。

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乳頭がん濾胞がんの病期
病 期
 症 状 治療方法
T期 腫瘍の大きさは1cm以内で
甲状腺内にとどまっている。
手術(葉切除術または全摘出術)

手術後,放射線療法(体内照射)

乳頭がんのT期では経過観察もある
U期 45歳未満で,腫瘍は甲状腺の外へ広がっている

または45歳以上で,腫瘍の大きさは1cm以上であるが甲状腺内にとどまっている 
V期 45歳以上で,腫瘍は甲状腺の外に広がっているが,頚部以外には及んでいない

リンパ節に転移している場合もある 
腫瘍の全摘出およびリンパ節郭清

手術に,放射線療法または化学療法を併用
W期  45歳以上で,肺や骨などへ遠隔転移している  対症療法,緩和療法



髄様がんの病期
病 期
症 状   治療方法
T期 腫瘍の大きさは1cm以内  手術(甲状腺全摘出術)

頚部リンパ節に広がっている場合は,頚部リンパ節郭清  
U期 腫瘍の大きさは1〜4cm 
V期 腫瘍はリンパ節に転移している 
W期 遠隔転移している  化学療法などの対症療法,緩和療法
   



甲状腺がんの手術


甲状腺がんは手術による成績が良好ながんであり,進行乳頭がん,濾胞がん,髄様がんのすべてに手術が適用され,約8割は手術で治癒が期待できます。

手術では,がんの大きさにより,甲状腺の片側だけを切除する葉切除術と,甲状腺の一部を残して甲状腺を切除する亜全摘術,そして甲状腺すべてを切除する全摘術があります。

手術では甲状腺を切除しますが,特に血行性転移がある場合には,甲状腺全摘後に,放射性ヨード療法,さらには放射線療法や抗がん剤治療が行なわれます。

放射性ヨード療法とは,ヨードの放射性同位元素I−131を内服するもので,転移巣に対する治療法です。

さらに甲状腺全摘出後は,甲状腺ホルモンの補充や,副甲状腺機能低下症に対するカルシウムのコントロールが必要になります。



乳頭がんは進行速度が遅いので,腫瘍が1cm以下の場合, 経過観察をして,1cm以上になると,手術を行います。



濾胞がんは周囲の臓器やリンパ節に転移することは少なく,他の臓器に転移さえなければ,大部分が手術で治癒できます。

濾胞がんは進行速度は遅く,経過観察の場合もありますが,がんが骨や肺などに遠隔転移を起こしていれば,全摘手術となります。

予後は乳頭がんや濾胞がんなどと比較するとあまり良くありませんが,早い段階で治療を受ければ治癒も期待できます。



未分化がんは悪性度が高く,進行が速いため,手術だけでは困難なことが多く,放射線治療,抗がん剤などを組み合わせて治療を行います。

未分化がんでは,標準治療は確立しておらず,浸潤や転移が進行している場合には,緩和ケアや疼痛の緩和治療が中心となります。




甲状腺がんの化学療法(抗がん剤治療)



化学療法においては,標準とされる治療法は確立していません。

抗がん剤が用いられるのは,未分化がんに対してで,多種類の薬剤が併用されます。

これまで,未分化がんに対しては一般にドキソルビシンを中心とする併用療法が用いられてきましたが,毒性が強い割に,効果を示さない患者も少なくありませんでした。

最近では,パクリタキセルは副作用が弱く,治療効果が比較的高いとする結果が報告され,この薬剤が今後,中心となる可能性もあります。



2011年に,欧州医薬品局(EMA)は,局所進行性か転移性で手術不能な甲状腺髄様がんに分子標的治療薬バンデタニブ(カプレルサ)の有効性を認めています。

これはマルチキナーゼ阻害剤と呼ばれる薬剤で,無増悪生存期間を改善したと報告されています。

おもな副作用は,食欲不振,気管支炎,頭痛,高血圧などがあります。



さらに,翌2012年には,国際共同第V相臨床試験によって,分子標的薬のカボザンチニブが進行性の甲状腺髄様がんに治療効果があると発表されました。

腫瘍抑制効果だけでなく,骨転移の抑制と痛みの緩和にも明確な効果があるとされています。



このように甲状腺がんにも分子標的薬の治療効果が証明されつつあり,日本でも適応が期待されるところです。


       
 
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