|
|
|
|
|
|
エピルビシン・抗がん剤の概要
|
|
|
|
|
分類- 抗がん性抗生物質 |
|
|
|
|
|
|
商品名
ファルモルビシン
エピルビシン塩酸塩
|
製造・販売
ファイザー製薬
日本化薬・サンド・マイラン・沢井 |
|
エピルビシン(ファルモルビシン)はアントラサイクリン系の抗生物質として,類似構造を持つドキソルビシンよりも心臓障害を軽減する目的で開発された抗がん剤です。
DNAの螺旋構造の間に入り込んで,その合成を阻害するとともに,酵素酵素トポイソメラーゼUの働きを阻害し,DNAを切断することで,がん細胞を死滅させます。
この抗がん剤は副作用として,非常に強い骨髄抑制作用を持つため,好中球減少や貧血,血小板減少に伴う出血傾向に注意が必要です。
心臓障害の少ない薬剤を目指して開発されたものですが,アントラサイクリン系薬剤の特徴としての心筋障害は報告されています。
特に,他のアントラサイクリン系薬剤がすでに投与されている場合は,基準総投与量に達していなくても心筋障害が生じる可能性があるため,事前の投与歴確認が必要です。 |
|
し
|
|
治療対象となるがんの種類
|
|
|
乳がん,食道がん,急性白血病,悪性リンパ腫,卵巣がん,胃がん,軟部組織肉腫
FEC療法(フルオロウラシル+エピルビシン+シクロフォスファミド)は乳がんの術前または術後抗がん剤治療における中心的な役割を果たしています。
|
|
投与法
|
|
粉末状または液状の注射剤で,生理食塩水と混合して,通常は静脈内に投与します。
肝臓がんの場合は肝動脈化学塞栓療法(TACE)で使用されます。
また,膀胱がんでは膀胱内にカテーテルを通して局所投与します。
乳がんの治療法の一つであるFEC療法では,フルオロウラシル500mg/u(静注, day1)+エピルビシン100mg/u(静注, day1)+シクロホスフアミド500mg/u(静注day1)
を21日1コースとして繰り返します。 標準的治療では6コース実施します。
|
|
エピルビシンの主な副作用
|
|
|
骨髄抑制はよくみられ,白血球減少は,投与後1週間から2週間で最低値となり,通常は,21日目ごろに回復しますが,これ以降も白血球減少が持続することもまれではありません。
抗がん剤投与後すぐにみられる悪心・嘔吐はほぼ全員に起こり,適切な制吐薬の使用が必要です。
また消化管障害による下痢・腹痛が生じる場合もあります。
投与量増加に伴い,口内炎が生じる可能性が高くなります。
脱毛もほぽ全員にみられ,通常は抗がん剤治療の終了により回復しますが,回復しない場合もあります。
発疹,皮膚および爪への色素沈着,光線過敏症などもみられます.
その他,重大な副作用として,ショック,肝臓や胆道の重い障害,胃潰瘍,膀胱の萎縮等が報告されています。
|
|
使用上の注意 |
|
|
他のアントラサイクリン系薬剤の使用がうっ血性心不全など,心筋障害を増強させる恐れがあります。
心臓部や肺に対する放射線治療によって心筋障害が増強される恐れがあり,減量を検討する必要があります。
放射線治療併用時には骨髄抑制が増強されるため,同様に減量を検討する必要があります。
パクリタキセルとの併用時には,エピルビシンを先に投与し,その後パクリタキセルを投与することが必須で,逆の投与順番では骨髄抑制などの副作用が増強される恐れがあります.
胃潰瘍などの治療に使われるシメチジンの併用によって,エピルビシンのAUC(薬物血中濃度変化指標)を上昇させることがあります。
抗がん剤治療中に血管外漏出が起こると,局所皮膚障害が生じ,皮膚潰瘍から壊死へと進行する場合がありますので,点滴中は安静をこころがけてください。
エピルビシンとその代謝物によって,特に健康上の問題はありませんが,投与後24時間で赤色から橙色尿が生じる場合があります。
動物実験で,胎児への毒性が報告されているため,妊婦または妊娠している可能性のある人は医師と相談してください 授乳は中止してください。
|
|
|
|
|