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ミリプラチン・抗がん剤の概要
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分類- プラチナ製剤 |
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ミリプラチンは肝臓がんの治療法の一つである肝動脈化学塞栓療法のために開発されたプラチナ製剤です。
この治療法では,肝動脈にカテーテルを挿入し,抗がん剤を投与後,ゼラチン粒などの塞栓物質で血流を遮断することで,がん細胞を死滅させます。
一方の正常細胞は門脈からの血流もあるので死滅しません。
この治療法では,新たな血液が流れ込まないようにするため,薬剤を高濃度の状態で腫瘍に作用できます。
ミリプラチンは,腫瘍付近に,長くとどまることができ,組織組織内に少しずつ放出されることで,長時間効果を発揮することができるというメリットがあります。
ただし,この抗がん剤治療により,間質性肺炎や肝機能障害,腎不全などの重篤な副作用も報告され,投与時には十分な注意が必要です。 |
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治療対象となるがんの種類
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肝臓がん(リピオドリゼーションによる肝動脈内投与)
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投与法
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油性造影剤のリピオドールに溶けやすいため,この造影剤に溶解させて,肝動脈に投与します。
ヨード系薬剤のリピオドールは、ジノスタチンスチマラマーの懸濁用液や,リンパ系・子宮卵管造影剤としても用いられます。
ミリプラチン70mgを溶解用液3.5mlに溶解し,1日1回肝動脈内に挿入されたカテーテルより投与します。投与は腫瘍血管に溶解液が充満したら終了します。
上限は1回6ml(ミリプラチンとして120mg)です。
繰り返し投与する場合には,4週間以上の観察期間をおきます。
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ミリプラチンの主な副作用
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発熱,炎症性タンパクCRP値の上昇,好酸球増多,腎不全などがみられます。
重い副作用として肝機能障害,黄疸,肝不全,肝・胆道障害,感染症,骨髄抑制(好中球減少),ショック,アナフィラキシー様症状,間質性肺炎,急性腎不全が報告されています。
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使用上の注意 |
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重篤な症状として間質性肺炎があり注意が必要です。
発売元の大日本住友製薬の報告によれば,2010年1月20日から2012 年9 月まで(推定患者数約26,000 人)に報告された間質性肺炎発現症例15 例のなかの9例がミリプラチンによる間質性肺炎と評価され,死亡例もあるとのことです。
特に,咳や呼吸困難,発熱などの症状がみられる場合,すぐに医師に報告してください。
急性腎不全等の重篤な腎障害があらわれることがあるので,観察を十分に行い,血液検査で,BUN,血清クレアチニン値等の異常が認められた場合には,適切な処置を行う必要があります。
次の場合は,使用することはできません。本剤,他の白金を含む薬剤またはヨード系薬剤に対する重い過敏症の既往歴,重い甲状腺疾患、妊婦又は妊娠可能性。
また総ビリルビン値が3mg/dl以上または肝障害度Cの場合は原則として使用できません。
腎障害,高齢者、血管造影で明らかな肝内シャントまたは門脈腫瘍栓がある場合は慎重に投与する必要があります。
ほとんどの場合発熱が現れるため,解熱剤の投与など適切な処置を行います。
肝機能障害,黄疸,肝不全などが起こる場合があるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には,適切な処置を行う必要があります。
胆嚢炎,胆汁性嚢胞,肝膿瘍等の肝・胆道障害があらわれることがあるので,観察を十分に行い、異常が認められた場合には、適切な処置を行う必要があります。
投与時にショック,血圧低下等が現れることがあるので,異常が認められた場合には適切な処置を行う必要があります。
標的とする部位以外への抗がん剤の流入により,重い胃穿孔,消化管出血,胃・十二指腸潰瘍,脳梗塞,肺梗塞,肺塞栓,成人呼吸窮迫症候群,脊髄梗塞等が起こるおそれがあります。
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